コラム

イスラエルとパレスチナの監督が撮った『ノー・アザー・ランド』が呼び起こす本音と建前の板挟み

2025年02月08日(土)21時27分

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN

<ドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』はイスラエルの無慈悲な行為を映す一方、監督たちの対話には希望も感じさせる>

イスラエル・パレスチナ問題をテーマにした映画は、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)やナチスドイツをテーマにした映画に比べれば圧倒的に少ないけれど、でも相当数ある。ドキュメンタリーならば、イスラエル人監督アビ・モグラビの『ハッピー・バースデー、Mr.モグラビ』があるし、(タイトルだけ挙げるが)『プロミス』『医学生 ガザへ行く』『忘れない、パレスチナの子どもたちを』『ガザ 素顔の日常』『ガザ・サーフ・クラブ』『私は憎まない』など枚挙にいとまはない。

日本人監督のドキュメンタリー映画も、過去に連載で取り上げた後藤和夫監督の『傍観者あるいは偶然のテロリスト』、土井敏邦の『沈黙を破る』『ガザからの報告』、古居みずえの『ガーダ パレスチナの詩』、広河隆一の『パレスチナ1948・NAKBA』など数多い。若松孝二も『赤軍-P.F.L.P 世界戦争宣言』を発表している。


劇映画ではハニ・アブアサドの『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』を筆頭に、『ガザの美容室』『D.I.』『テルアビブ・オン・ファイア』『ハッピー・ホリデーズ』など、こちらもまだいくらでもある。

連日のニュースを見ていると、イスラエル国民のほとんどがネタニヤフ政権を支持しているような気分になるが、ここに挙げた作品は全て、パレスチナに対するイスラエルの不当な支配を告発することがベースだ。選んだわけではない。ほぼ全て視点は共通している。監督にはイスラエル人もパレスチナ人もいる。

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、一部の先端半導体に25%関税 国内生産

ビジネス

パウエルFRB議長は「殿堂入りに値する」=シカゴ連

ワールド

トランプ氏、加工済み重要鉱物の輸入調整へ貿易パート

ワールド

米政府、75カ国の移民ビザ発給手続き停止 入国規制
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    宇宙に満ちる謎の物質、ダークマター...その正体のカ…
  • 9
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story