コラム

日本経済の「異常」が終わる時、何が起きるか...所得増とビジネス活性化の一方、危機に陥るのは?

2025年03月20日(木)15時48分

終わりを迎える30年にわたった金利ゼロの世界

だが市場はこの発言に敏感に反応しており、為替は円高に、金利は上昇する方向に動いている。金利が上昇して円高が進めば輸入物価が下がり、高騰が続く国内の物価も一段落する可能性がある。その意味では消費者にとっては朗報かもしれないが、こうした動きを日銀が追認せざるを得ない状況となった場合、想定以上に金利が上がる可能性も否定できない。

いずれにせよ、30年の長きにわたった金利ゼロという異常な世界は終わりを迎えつつある。預金に一定の金利が付与されることは家計の所得を増やす効果をもたらすと同時に、貸出金利も上がることから企業の競争も活性化することになる。

日本経済が正常な状態に戻ろうとするきっかけが、世界中を不安に陥れているトランプ氏の言動なのだとすると何とも皮肉である。


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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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