コラム

米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?

2025年04月16日(水)19時32分
トランプ関税でアメリカは保護主義に回帰

ROBERT V SCHWEMMER/SHUTTERSTOCK

<関税の発動によってアメリカ経済にもインフレや景気後退といった悪影響が及ぶことになるが、トランプにとっては様々な政治的メリットが計算できる>

トランプ政権が、世界各国に対する包括的な相互関税を発表した。日本については自動車の追加関税が既に発表されているので、結果的にほぼ全ての対米輸出に関税がかかる形になった。

これだけの保護貿易を行えばアメリカ経済にもインフレや景気後退など逆風が吹くことになるが、保護貿易とはある種の近隣窮乏策であり、自身にデメリットがあっても相手国のデメリットがそれ以上に大きければ勝ちというゲームである。トランプ政権の通商政策が不当であることは言うまでもないが、すぐに問題が解決されるという甘い予想は持たないほうが良いだろう。


今回の相互関税は、各国に対して一律10%の関税をかけた上で、非関税障壁などを考慮した個別の税率を上乗せするというものであり、日本に対しては最終的に24%の関税がかかる。

税率の根拠についてトランプ政権は明確に示していないものの、貿易赤字額や貿易の絶対額などから単純計算して割り出した数字である可能性が高く、明確な根拠があるとは言えなさそうだ。自動車を含め、日本からアメリカへの輸出に対しては基本的に25%前後の関税がかかることになるため、日本の製造業にとって大打撃となるのはほぼ間違いない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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