コラム

おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ムダ」だけではない、高市政権の「矛盾」とは

2025年12月18日(木)10時33分
高市政権の「おこめ券」配布が批判される理由

AKIRA_PHOTO/SHUTTERSTOCK

<高市政権による物価高対策の中でも評判が悪い「おこめ券」。配布しないことを決定した自治体もあるなど、批判の声も上がっているのはなぜなのか>

高市政権が打ち出した物価高対策が迷走している。とりわけ評判が悪いのが「おこめ券」の配布である。おこめ券は主にコメの購入に使える商品券を自治体を通じて各世帯に配布するというもので、重点支援地方交付金における推奨メニューの1つとして扱われる。

配布を実施するかどうかは自治体が判断できるはずだが、鈴木憲和農林水産相は「推奨メニューの必須項目」と発言しており、多くの自治体が、政府からの強制と解釈した。自治体の中には、おこめ券を配布しない決定をしたところもあるほか、一部からは強い批判の声も上がっている。


おこめ券などに代表される商品券は、特定の商品を購入できる金券なので、購入したいと考えている国民には経済的支援となるし、当該商品の需要を増やす効果もある。利用されれば必ず消費につながるので、即効性があるのは間違いないだろう。

一方でコメを求めない国民にとってはあまり意味がなく、当然のことながら現金と比べると汎用性が低い。だが今回、おこめ券が問題視されているのはこれだけが理由ではない。最も大きいのは政策コストの高さだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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