東京23区「人口流出」の実態とは? 「一極集中の是正」報道のウソ

MICHAEL H/GETTY IMAGES
<テレワークの進展によって郊外に転居した人がいるのは確かだろうが、そうした「前向き」な理由での転出はむしろ少数派と見るべきだ>
東京23区が転出超過になったことが話題となっている。テレワークが普及し、都心から人が出ていく動きが加速しているとの解釈が一般的だが、統計をより細かく見ると、そうではない可能性が高い。筆者はかねてからテレワークを推奨してきた立場だが、願望が先走ってしまうと実態を見誤る。
総務省が発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京23区の転出超過は1万4828人となり、現在の統計になってから初めて転出が転入を上回った。各種メディアには「東京一極集中の是正が進む」「テレワークの進展で田舎暮らしが現実に」といった見出しが並んだが、これは実態を表していない。
確かに23区は転出超過だが、東京都全体では5433人の転入超過。さらに東京圏に視野を広げると8万1699人の転入超過となっている。
つまり23区から人が出ていっただけで、首都圏全体では相変わらず地方から人を集めている状況に変化はない。さらに細かく統計を見ると、23区から転出している人の多くは、横浜や川崎、さいたま市、川口市など近隣都市に転居している。東京一極集中が是正されたのではなく、首都圏内での移動が増えたことが分かる。
最大の要因はコロナ危機による失業増加
世の中で指摘されているように、テレワークの進展によって郊外に転居した人がいるのは間違いないだろう。だが、それ以外にも都心から人が離れる要因はたくさんある。最も大きいのはコロナ危機による失業である。
東京近郊に実家があり、23区で単身生活をしている若年層は多い。感染拡大に伴う外出抑制で外食産業やアパレル産業は大打撃を受け、多くの労働者が仕事を失った。特に非正規労働者にそのシワ寄せが来ており、東京都における非正規雇用者数は19年との比較で7万4000人も減少している。単身での生活ができなくなり、実家に戻らざるを得なかった若年層はかなりの数に上るだろう。
東京都の事業者でテレワークを実施している比率は56.4%(21年12月時点)だが、週1日もしくは2日という事業者が過半数となっており、全面的に実施されているとは言い難い。
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