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インド自動車業界、E20燃料の安全性巡り釈明 消費者から苦情

2025年09月01日(月)11時57分

 インドで本格導入された20%エタノール混合燃料(E20)について、インド自動車工業会(SIAM)のP・K・バネルジー執行ディレクターは30日、E20によって車両の燃費は2―4%低下するものの、安全に使用できると強調した。写真はコルカタのガソリンスタンドで28日撮影(2025年 ロイター/Sahiba Chawdhary)

Aditi Shah

[ニューデリー 31日 ロイター] - インドで本格導入された20%エタノール混合燃料(E20)について、インド自動車工業会(SIAM)のP・K・バネルジー執行ディレクターは30日、E20によって車両の燃費は2―4%低下するものの、安全に使用できると強調した。消費者からの懸念を沈める狙いがある。

バネルジー氏はニューデリーで開かれたイベントで記者団に「数百万台の車両が既に随分前からE20で走行している。車両故障やエンジン故障の報告は1件もない」と述べ、問題が発生すれば保証や保険請求は企業が全額負担すると言い添えた。

インドは数年前、モディ首相のクリーンエネルギー政策の一環として、2025年までにE20を導入する目標を掲げた。しかしここ数週間、ほぼ全てのガソリンスタンドでE20しか買えない状態になり、特に旧式車両の性能や耐久性への影響を巡ってドライバーから激しい反発が起きている。

バネルジー氏は、燃費が50%低下するという説について、根拠がなく誤った情報だと指摘。管理された環境下での科学的研究では2―4%の低下が確認されたと説明した。

ただ、実社会で走行すると、さまざまな要因により燃費がさらに低下する可能性がある。

インドは2023年からE20燃料を段階的に導入しているが、旧式車両との互換性が高いとされるE5やE10といった従来の混合燃料も併せて提供されていた。

しかし現在、国内約9万カ所のガソリンスタンドほぼ全てから旧式の混合燃料が撤去され、ドライバーの選択肢は1つになった。

自動車メーカーは当初、E20は旧式車両との互換性試験が行われていないとしていたが、その後、安全に使用できるとして前言を翻した。

ドライバーらは最近数週間、ソーシャルメディアで燃費の大幅低下やメーカーの混乱した対応に懸念の声を上げている。

最高裁では9月1日、この問題に関する公益訴訟の審理が行われる予定だ。

ロイター
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