訂正-対シリア制裁、EUの追加解除提案の全容判明 復興と帰国支援

5月15日、欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表は、来週の外相会合を控え、対シリア制裁の追加解除を提案する文書を取りまとめ加盟国に14日付で送付した。ロイターの取材で提案の全容が判明した。写真はブリュッセルで3月撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
(英文の訂正により、7段落目の国名からオランダを削除し表現を調整しました)
Lili Bayer John Irish
[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表は、来週の外相会合を控え、対シリア制裁の追加解除を提案する文書を取りまとめ加盟国に14日付で送付した。ロイターの取材で提案の全容が判明した。
対シリア制裁は、トランプ米大統領が13日に解除を命じると発表しており、これに続く形となる。
カラス氏の提案は、復興支援や難民帰還などの分野でシリア国防省と内務省向け資金拠出を可能にすることが柱。「復興と、政府の対処能力引き上げ、反テロ活動、(難民となった)国民帰還の各分野」を対象に解除するよう提起している。
さらに、シリア商業銀行に対する制裁も解除する一方、アサド前政権と関係のあった個人を対象とした制裁は続けるよう提案している。
また、アサド前政権時代の化学兵器を廃棄するため特別条項を導入することにも言及。加盟国はシリアの国有企業と関わる際に、化学兵器の廃棄に関して、以前よりも柔軟な対応が可能となる。
EUでは中央銀行への制裁を解除するべきかどうかについても議論が行われていると3人の外交官が明らかにした。
ロイターが確認した、シリア復興支援に向けたドイツとイタリア、オーストリアが配布した共同文書は「社会経済の回復のための柔軟性拡大」を掲げる内容で、中央銀行や各種金融機関への制裁解除を提起している。
対シリア制裁を巡ってはフランスのマクロン大統領が今月、シリアのシャラア暫定大統領との会談後、制裁を更新する際は全廃するようEUに強く働きかける方針を表明していた。
制裁は2013年に発動され、毎年6月1日に更新してきており、今年も間近に迫っている。