最新記事
世界経済

ECB、利下げ終了が近い可能性に理事会メンバーが言及...貿易戦争の激化がリスク

2025年5月16日(金)18時41分
ECBの利下げ終了の可能性

5月16日、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、経済と市場のボラティリティーについて、貿易戦争を反映したものであり、通貨戦争を反映したものではないと述べた。写真はパリで4月撮影(2025年 ロイター/Abdul Saboor)

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁は16日、ECBの利下げが終わりに近づいている可能性があるが、不確実性が高く、事態が急変しやすいため、政策見通しも変わる可能性があると述べた。

CNBCに「われわれは、おおむね(インフレが2%前後で落ち着くという)基本シナリオの範囲内にある」とし「この基本シナリオが維持されれば、すでにターミナルレート(金利の最終到達点)に比較的近いところにいると考えている」と発言。


「あと2回の追加利下げは(可能かもしれないが)、重要なのは貿易交渉と貿易動向がわれわれをどこへ導くかを見極めることだ。当然、それに応じて行動する」と述べた。

ECBのシュナーベル専務理事は利下げを停止すべきだとの考えをすでに示している。ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は追加緩和の余地があると指摘している。

市場は現在、6月5日の利下げを約90%の確率で見込んでいるが、その後は年内にもう1回の利下げしか織り込んでおらず、中銀預金金利が1.75%で利下げ打ち止めになる可能性を示唆している。

ビルロワドガロー氏は、世界的な貿易戦争の激化が重要なリスクだが、ECBがユーロ相場に影響を及ぼすために金利を使うことはないと発言。そのようなことをすれば貿易戦争が通貨戦争になると述べた。

同氏は16日付の複数の仏地方紙に掲載されたインタビューで「残念ながら貿易戦争のリスクはある。ただ、通貨戦争とは、各国が積極的に金利を活用して経済的優位を得ようとする状況を指す。現時点ではそうした状況にはない」と述べた。

「現在の為替動向は経済予測の修正を反映している側面が強い」との認識も示した。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

「貿易システムが崩壊危機」と国連事務総長、途上国へ

ワールド

欧州委、中国のレアアース規制に対抗措置検討─経済担

ワールド

米軍、麻薬密売船を攻撃か 南米太平洋側では初

ワールド

米、対中報復措置を検討 米製ソフト使用製品の輸出制
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    やっぱり王様になりたい!ホワイトハウスの一部を破…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中