ニュース速報
ビジネス

米7月求人件数、17.6万件減 失業者数が求人数を上回る

2025年09月04日(木)03時53分

米労働省が3日発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は718万1000件と前月から17万6000件減少した。カリフォルニア州エンシニータスで8月撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)

Lucia Mutikani

[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は718万1000件と前月から17万6000件減少した。求人件数が10カ月ぶりの低水準に落ち込む一方、解雇件数は増加し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以降で初めて失業者数が求人数を上回った。

米国の労働市場の減速が改めて裏付けられ、米連邦準備理事会(FRB)が今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行うとの見方を強めた。

ロイターがまとめた求人件数のエコノミスト予想は737万8000件だった。

医療・社会福祉セクターの求人数は18万1000件減少と、2カ月連続で減少した。同セクターはここ数カ月、雇用増加の主なけん引役となってきた。

小売業では11万人減少、芸術・娯楽・レクリエーションセクターでは6万2000件減少した。専門・ビジネスサービス分野は5万6000件減少した。

一方、建設・製造・金融活動分野では求人数が増加した。連邦政府の求人数も1万8000件増加した。これは移民執行機関の採用に関連しているとみられている。

採用件数は4万1000件増の530万8000件。増加は卸売業、製造業、その他のサービス業に分散している。レジャー・ホスピタリティー、運輸・倉庫・公益事業、医療・社会福祉業では減少した。

雇用率は3.3%で横ばいだった。

解雇件数は建設業を中心に1万2000件増の180万8000件。専門・ビジネスサービス業では13万人減少した。レイオフ率は1.1%で横ばいだった。レイオフは比較的低水準にとどまっており、労働市場の安定を支えている。

転職する労働者も減少した。失業者1人あたりの求人数は0.99件で、6月の1.05件から減少。パンデミックによる不況からの脱却を目指していた2021年4月以来初めて1.0を下回った。

自主的に仕事を辞める人は減少し、離職率は4カ月連続で2.0%を維持した。

労働市場の減速について、エコノミストはトランプ政権による大規模な関税措置が背景にあると指摘。政権が進める移民の取り締まり強化に起因する労働力の減少も影響しているとの見方も出ている。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「この悪化は、過去数年間のFRBによるインフレ抑制の取り組みを通じて概ね健全であった労働市場が徐々にむしばまれていることを浮き彫りにした。経済政策の不確実性は春以降、幾分後退しているものの、消費者支出の鈍化と関税に関連するコスト圧力により、企業は人員を含め、可能な限りコスト削減を模索する圧力にさらされ続けるだろう」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日・EUなどとの貿易協定「解消」も、関税裁判敗訴な

ビジネス

米経済活動、大半でほぼ変化なし 物価上昇は緩やか=

ビジネス

米7月求人件数、17.6万件減 失業者数が求人数を

ワールド

プーチン氏「良識働けば協議で戦争終結」、 交渉不調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中