コラム

税金を滞納すると、こんな良いこともある?

2022年12月03日(土)19時35分
無人島

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<日本の国民負担率は今や46.5%にも達し、政府は「減税」「負担軽減」を訴える声に耳を貸さない。ガチョウもそろそろ暴れだすかもしれない>

【税務署の力】

二人の男が無人島に漂着した。一人は絶望的な表情を浮かべていたが、もう一人の男は楽観的な様子でこう言った。

「大丈夫。僕たちはきっと発見されるよ」

「どうしてそう言えるんだい?」

「今頃、必死になって僕を捜している連中がいるからね」

「どういうことだい?」

男が答えた。

「僕には5年分の税金の滞納があるんだ」

◇ ◇ ◇

日本で話題に上がることの多い消費税。同様の税は世界では「付加価値税」などと呼ばれるが、このような税を最初に導入したのは第2次大戦後のフランスというから、その歴史は意外と浅い。

ただし、同様の税の発想自体は、ルイ14世時代のフランスにまでさかのぼる。

当時の財務総監(財務大臣)であるコルベールは、「ガチョウから羽根を取るときは、一気にむしり取ってはいけない。適度に抜けば、ガチョウは暴れず、黙ったままでいる。むしろ満足した顔をする。これが徴税の極意だ」と述べ、国民から広く浅く徴税することを考えたという。

日本の消費税率は現在10%。一方、ヨーロッパ諸国は総じて税率が高く、デンマークやスウェーデン、ノルウェーでは25%、フランスは20%となっている。

ただし、国によって軽減税率の仕組みも異なるし、税の使われ方も違う。北欧諸国は税の負担が重い分、福祉や教育における支援が総じて充実している。

「聞く力」は一体どこに?

日本の場合、租税負担の比率と社会保障負担の比率を合わせた国民負担率(対国民所得比)は、2022年度で46.5%に達する。ちなみに1970年度の国民負担率は24.3%。

さらに現在、国民年金(基礎年金)保険料の納付期間を延長する案などを検討しているというから、お上はいかにも無慈悲である。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米銀のSRF借り入れ、15日は15億ドル 納税や国

ワールド

中国、南シナ海でフィリピン船に放水砲

ワールド

スリランカ、26年は6%成長目標 今年は予算遅延で

ビジネス

ノジマ、10月10日を基準日に1対3の株式分割を実
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story