コラム

日本の「論破ブーム」、行きすぎて「屁理屈」になっていないか

2022年03月01日(火)17時30分
シャーロック・ホームズとワトソン

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<論理的思考は確かに大切だが、欠けているものがある。シャーロック・ホームズを生んだイギリスに今こそ学ぶべきだ>

【ホームズの憂鬱】
シャーロック・ホームズと相棒のワトスン博士がキャンプに行った。おいしい夕食とワインを楽しんだ後、彼らは眠りに就いた。

数時間後、ホームズがワトスンを起こして言った。

「ワトスン君、見上げてごらん。何が見える?」

ワトスンが答えた。

「満天の星空だ」

「では、ここから君は何を推理するかね?」

ワトスンはしばらく考えた後、話し始めた。

「そうだな。例えば天文学的な見地から言えば、宇宙には何百万もの銀河と何十億もの惑星が存在するであろう」

ワトスンが続ける。

「占星学的に考えれば、土星が獅子宮(ししきゅう)にかかっているのが観測できる。時計学ならば、今はだいたい3時15分頃だ。気象学から予測するなら、おそらく明日は晴れである。神学で言うなら、神は全能であり、宇宙にとって私たちはちっぽけな存在だ」

ワトスンが満足そうな表情を浮かべながら聞いた。

「では、ホームズ、君なら何が分かる?」

ホームズがため息をついてから答えた。

「ばか! 私たちのテントが盗まれたんだよ」

◇ ◇ ◇

日本では昨今、「論破ブーム」とのこと。なるほど、話を論理立てて前に進めていくことは大事である。これまで日本人が苦手とされてきた側面とも言えるかもしれない。

私は以前、ヨーロッパで暮らしていたが、確かに論理的思考を大切にする国(民族)は多いように感じる。

シャーロック・ホームズを生んだ国であるイギリスもまさにその1つ。客観性のある事実を重視し、自らの思い込みによる判断を避けようと努める。

本当に論理的な人と話をすることは楽しい時間となる。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米財務長官、強いドル政策支持再表明 FRBは国民の

ワールド

EXCLUSIVE-ロ原油収入減で財政悪化懸念、2

ワールド

欧州議会、米EU貿易協定の作業再開へ 24日採決の

ワールド

米ロ・ウクライナ三者協議が再開、戦闘続く中で初日終
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 8
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 9
    戦争の瀬戸際の米国とイラン、トランプがまだ引き金…
  • 10
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story