コラム

メートルやキログラムが「普遍的な基準」になった日...7つのキーワードで学ぶ「メートル条約締結150周年と基本単位」

2025年05月20日(火)20時55分

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産総研計量標準総合センターの臼田孝センター長 筆者撮影

さらに、時間の設定は地球を超え、月に拡張されようとしている。アメリカ政府は24年4月、月での標準時「協定月時間(Coordinated Lunar Time; LTC)」を他国と連携して26年末までに策定するようにNASA(アメリカ航空宇宙局)に指示した。


これは、17年から進められているアルテミス計画(有人月面着陸ミッション)で月周囲や月面で測位衛星を使ったり、将来的に月探査や月滞在をしたりするときに利用することを想定したもの。月の重力は地球の6分の1なので、地球よりも24時間当たり58.7マイクロ秒だけ時間が速く進む。そのため、地球の協定世界時(UTC)との変換を可能にしたり、月ミッションの参加国が共通のタイムゾーンを持ってコミュニケーションをしやすくしたりすることが目的だ。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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