World Voice

ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

間もなく雨期が明けるミャンマーのヤンゴンでの出来事

自転車で市内を走っている時に見つけたパゴダ:筆者撮影

おはようございます。
私はすっかりインドア派になってしまったと思うのですが、それでもこれだけ雨が続くと少し太陽が恋しくなります。
今回は雨期明けまでもうすぐというヤンゴンから何となく今思っている事をつれづれに書いていこうかなと思います。
これを書き始めている現時点でなんの着地点も決めていないので無事軟着陸できるのを祈りながら書き続けたいと思います。

ミャンマーに戻って来て2カ月。
戻ってくる前はかなり息を撒いていたように思います。
ですが、戻ってくるなりミャンマーの洗礼を様々受け、なんのかんので生活が依然と変わる羽目になってしまい、その辺りがようやく落ち着いてきたのかなという今日この頃です。

そういえば明日は一日部屋にいると思うのですが(やはりインドア派)家の水道関係の修理に人が来てくれます。
家はローカルなりに快適に過ごせるよう色々と改造していたのですが、その歪みが出たのか何とトイレの水道管が一部外れ、水が駄々洩れになるという事件が起こりました。
何とか素人なりに直したような感じにはなっていますが、ところどころ水がしたたっているので職人を読んで直してもらう事に。

更には職人に「午後から夕方まで家の地域は停電だから午前中に来てね」とお願いをしなければなりません。
そんなこんなで何かと不便な生活が続いているところではありますが、毎日の自分の生活もそれなりにこなせるようになってきました。
新しい町にも少しは慣れてきたように思います。

日本ではない暮らしは大変だと思うかもしれません。
ですが、今のミャンマーでこれだけの生活が出来ている私は恐らくミャンマーでは1%以内に入る幸せな生活をしている人間に当たると思います。
ミャンマーで1%というと54000人程ですから充分その中に入っていると思います。
日々生活していて、ふと思うのです。

「軍に追われる羽目になった私の友人は今元気にしているのだろうか?」
とあるミャンマー人の友人の話です。
著名人である彼は追われながらも発信を続けています。
毎日食うや食わずやという程ではないようには見えますが、国内にいる以上いつ危険な目に遭ってしまうかはわからないなと心配しています。

表で見えているだけでは様々な彼を取り巻く状況を正確に把握は出来ないので小まめに連絡を取り合うのが迷惑にならないよう基本こちらから連絡はしないようにしています。
数年前までは同じヤンゴンで、こんなことをしよう、あんなことが出来たら楽しいよねとエンターテイメントについて一緒に語り合った友達が今大変な状況になっています。

それでも発信を続けることが出来ている彼はまだマシなのかもしれません。
連絡が取れなくなった友人もいます。
彼ら、彼女らが今どうしているのかは考えるの怖くなってしまいます。
ただ、何となくミャンマーに渡り、9年住んだだけの日本人ですら決して遠くない身近な人の中に漫画のような映画のような出来事が起こっているのを私は見聞きしています。

何より不安なのが、そういった友人達の苦しみや引いてはこの国を取り巻く苦難がいつの間にか世界から忘れられてしまわないだろうかという事です。
同じミャンマーにいる私ですらふとそんな事は忘れてしまって生活している瞬間があるのです。

「私の故郷はミャンマーの北の方で今は凄く危ないです、男の人は長距離を移動するのに制限があります」

詳しい状況はわかりかねるが、恐らく戦闘が激化している地域などは戦闘員の可能性のある男性は一定区間から移動できないようにしているのだろうことが伺える。
みんな日々を何事もないように暮らしているが、それはある意味精一杯の元状況への反抗なのだと感じる。
決して全てに屈服した訳ではない。

それがきっと多くの国民にとっての当たり前なのだろうと私は感じているが、そう感じていない人もいるようだ。

「何のかんので国民はそれなりに幸せに暮らしている」

幸せというのはなんなのだろうか?
少なくとも私は「死ぬよりはただ生きてさえいれば良い」とこの国の多くの人たちが考えているとはとても思えない。
ミャンマーの人たちは穏やかな心を持ってはいるが同時に激しい心も持ち合わせている人々だと思う。

その心に正しく寄り添う事が出来ていなければ次に起こる事への理解もまた追いついていかないと思う。
クーデターが起こった時、ミャンマー生活7年目を迎えていた私でも身近なミャンマーの人たちの心すら理解できていなかった自分に気付き愕然としたのを思い出す。
ましてや遠く日本からみているとミャンマーの人々の激情の部分を感じ取るのは難しいのかもしれない。

この素晴らしい人たちの穏やかな生活が再び取り戻される事を願っています。
その為に人々は既存のモノに戻るのではなく、新しい動きを期待し、そこに進むために邁進しようとしている事を感じて欲しいと願っています。
その為に命を懸けて闘っている人がいます。
命を落とした人もいます。
これから命を落とすかもしれない戦いに向かおうとしている人々がいます。

もうすぐ雨期の明けるミャンマー。
国を覆っている本当の暗雲はまだ晴れるのには時間がかかるのかもしれません。
いつも、明日全てが幸せに進む事を願っています。
出来る事は本当に小さな事ですが、今日も頑張っていきましょう。

それでは、また。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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