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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

クーデター以降ミャンマー生活の中でインターネットの速度が遅くなる時

暗雲たちこめるシュエダゴンパゴダ:2015年筆者撮影

ミャンマー最大都市ヤンゴンから新町がお届けしております。
昨日(2022年10月21日)朝からインターネットの調子がよくありませんでした。
先ずは身の回りで回線に負荷がかかっていないかなどを考えますが、特にそんな事もありません。
そのまま午後になって停電がありました。
3日連続です。
最初の日は1時間程、次の日は4時間、そして3日目の昨日は結果的にはまた4時間程の停電でした。

「電力が安定していないからネットも悪くなっているのだろうな」
実際にそういう日もあるので停電のせいだろうと結論付けました。
ここまでならよくある事です。
しかし、夜になって更に状態は悪くなり、ついに固定回線のネットは繋がらなくなりました。
不安がよぎります。

思い返すとクーデター後、インターネットの不調がある時には大体裏で何かが起こっている時でした。
海外から要人が来るため国民が余計な情報をSNSなどで流させないようする為だとか、海外メディアが来るからだとか。
真偽を断定しては言えませんが、インターネットを国民が制限なく使える状態にしていると軍にとって不都合な時があるというのは間違いでしょう。

実際にクーデター後24時間まったくインターネットが使えなくなった日も何度かありましたし、深夜1時~午前9時までの間固定回線も携帯でのネットも出来ない期間がかなり長い間存在したのはまぎれもない事実です。
日本では考えられないような事を軍は当たり前のように行います。
ミャンマーは現状とても法治国家と言える状況ではありません。
とまあそういった話は長くなるのでまた別の機会に。

とにかくインターネットが不通になるレベルでおかしくなって来ると心がざわついてくるという話です。
今回は携帯電話でのインターネットは繋がっていたのでそこまでの恐怖はありませんでした。
夜中になると固定回線のネットも戻っていたので原因を自分なりに調べてみました。
わかったのは21日の8時頃起こった地方での大きな戦闘が原因ではないか?という事でした。
この戦闘については
Radio Free Asia Burmeseが報じているのをミャンマー語通訳、リサーチャーの島岡みぐささんがTwitterで解説してくれています。
1.jpg

情報統制が必要な程、大きな戦闘だったのか、この地域で何か通信インフラが破壊されその影響がヤンゴンにまで及んだか、私が出来るのはその程度の推察でしかありません。
ですが、ただインターネットの回線状況が悪くなるというところからここまで考えが及んでしまうという事が改めて異常な状態なのだなと気付きます。

「日本では当たり前に出来ることがミャンマーでは出来ない。」

ミャンマーに住むようになって8年、これまでそんな風に語る事は何度もありました。
しかしクーデター以降、民主化によってもたらされた様々な生活インフラの向上がもろくも崩れ去り、加えてミャンマーでも当たり前に出来ていたことすら満足に出来なくなっています。

ミャンマー国民は、民主化で経済が良くなり、国が豊かになったから良いと言っているのではなく、日本のような世界の中の民主主義国家の中で当たり前に自由を行使できるようになりたいと願っているのです。
経済の発展はあくまでその結果だと思います。
少なくとも現状を維持したところでこの先が良くなるとは多くの人々が思っているからこそ、今この瞬間も闘っている人がこんなにいるのであろうと、復旧したとはいえ、まだネット回線速度が半分以下のヤンゴンの早朝に思うばかりです。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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