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南米街角クラブ

島田愛加|ブラジル/ペルー

パンデミックと音楽家たち その2

ソーシャルメディアと音楽の在り方
オンラインレッスン以外にも、ビデオ式レッスンなど、音楽を学べる方法はパンデミックが訪れる前から進化してきた。
ビデオレッスンは機材によっては良質な音と映像で作成することができるし、受け取った側も自分が必要な部分を何度も繰り返し視聴することができる。
こういったビデオはYou Tubeなどに数え切れないほど存在し、クオリティが高いものもある。
様々なプラットフォームの出現により、音楽に限らずやる気さえあればお金をかけずに勉強できる時代だ。

音楽家もそれに伴い、ソーシャルメディアへの露出が増えている。
特にこのパンデミック以降、現場で生きていた音楽家たちがこぞってソーシャルメディア界に参入してきたのは間違いない。
音楽家にソーシャルメディアの使い方を教える人(プロデューサーというよりもインフルエンサーと呼べるだろう)も出現し、投稿の仕方や見せ方などを詳しく話している。中には「音楽家は"人気商売"であるため、音楽以外の投稿についてもコントロールするべきだ」というアドバイスもあった。彼らに言われたことを信じて徹底している友人もいるので驚く。
見た目や人間性、プライベートの投稿など、演奏以外の面を更に重視されるようになっていると感じる。

実際に、こういった"ソーシャルメディア活用マニュアル"を鵜吞みにしている音楽家が増えた気がする。
でも、それは本来の自分がもつキャラクターなのだろうか?
中には、その人のパーソナリティが現代の需要とピッタリあてはまる人もいる。
音楽家がパンデミックを乗り切るにはソーシャルメディアの利用は必須とも言えるだろう。 実際、パンデミックが終わった後も、常に変化する音楽の在り方に対応をしていかなければならない。
柔軟性は必要だが、流行りに身を任せて、我を捨ててまで音楽を仕事にしたいのか?
人の作品を無断引用したり、うわべだけのことを書いていないか?
安すぎる価格設定になっていないか?
音楽家も食べていかなければならない。だが、音楽が好きで音楽を仕事にしているだろう。
だからこそ、今自分がしていることが、音楽をひとつの文化として、ひとつの職業として後世に残すことこを妨害していないか考えた方が良い。

今、私達にできること
音楽が好きな私達が、音楽家を応援できる方法は、演奏活動や外出ができなくても沢山ある。
具体的に例をあげるなら

・アルバムなどを購入する
・ライヴ配信などに投げ銭する(金額よりも気持ちが大切)
・ソーシャルメディア上で作品が良いと思ったら"いいね"評価やコメントしたり、シェアする

その他にも、レコーディングや作品提供の依頼をしたり、オンラインレッスンの相談することも可能だ。
世界的に有名な音楽家たちも、演奏活動ができない間は積極的にレッスンや作曲、編曲を行っている場合があるので、この機会に思い切ってお願いしてみると良い。 好評価やシェアに関しては、ボタンひとつでできる。お金もかからない。
これは音楽だけでなく、その他の芸術分野や、身近なところでは街の商店などにも同じことが言えるだろう。
自分のお気に入りの店やレストランの閉店を惜しむなら、閉店しないようにお店に積極的に通ったり、何らかの形で応援するようにしてみてほしい。

音楽家同士でもっと意見や情報を交換しあうことも重要である。
久しぶりの友人との再会は、元気な姿を見られて安心したと同時に、試練に立ち向かっているのは自分だけでないということを感じさせてくれた。
共有するということは、生きていくうえで非常に重要である。誰か一人でもこれを読んで共感してくれたら嬉しい。
パンデミック後も、ここで誕生したいくつかのスタイルは残るだろうが、音楽がもつ本来の楽しみや美しさを取り戻すことを忘れてはならない。

 

Profile

著者プロフィール
島田愛加

音楽家。ボサノヴァに心奪われ2014年よりサンパウロ州在住。同州立タトゥイ音楽院ブラジル音楽/Jazz科卒業。在学中に出会った南米各国からの留学生の影響で、今ではすっかり南米の虜に。ブラジルを中心に街角で起こっている出来事をありのままにお伝えします。2020年1月から11月までプロジェクトのためペルー共和国の首都リマに滞在。

Webサイト:https://lit.link/aikashimada

Twitter: @aika_shimada

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