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スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

「冬の時代」におけるインドのスタートアップエコシステム

iStock

ロシア・ウクライナ戦争が始まった前後から、スタートアップ界隈では、「冬の時代」の議論が取りあげられてきました。

この冬の時代というのは、以下の要因によって発生して、インドのスタートアップエコシステムへ影響を及ぼしていると考えられます。

<「冬の時代」の要因>

■ロシア・ウクライナ戦争による石油・小麦・天然ガス等の供給不足に伴う経済の減速

■各国におけるインフレ政策、金利引き上げによる投資家の意欲減退

具体的な統計を見てみると、以下のファンドレイズ統計では、2021年最終Qから徐々に減少傾向にあると読むことができます。

<インドスタートアップのファンドレイズ統計>

(画像引用元:Startup Funds Worth $12.3 Bn Announced In 2022 So Far (inc42.com)より引用。)

更に、インドのスタートアップでも、レイオフ(整理解雇)の報道が散見されました。

<レイオフを実施したと報道されたスタートアップ>

Blinkit(ZOMATOに買収されたフードデリバリースタートアップ):1600人

Unacademy(Edtechユニコーン):1000人

Vedantu(Edtechスタートアップ):600人

Cars24:600人

Mfine:600人

<引用元:報道リンク> As Capital Flows Slow, Startups Begin Layoffs | India Business News - Times of India (indiatimes.com)

インドのスタートアップの傾向として、大型の資金調達をかけて、その資金を用いて、一気に人材を採用して多少の赤字でもトップラインを狙っていくというものが多かったですが、利益重視の傾向へと舵を切りそうな雰囲気もあります。

ほかの報道でも、インドのスタートアップ企業でも6,900人の従業員が2022年の最初の4ヶ月に解雇されたと伝えられています。

Vedantu社の共同創業者で最高経営責任者のVamsi Krishna氏はブログで、「欧州戦争、差し迫った景気後退懸念、FRBの利上げ」によって今後数四半期は資金不足に陥る可能性があるため、今回の厳しい決断に至ったことを発信していました。

(画像引用元:The worst for Indian startups is yet to come -- be prepared for layoffs, unicorn slowdown and startup shutdowns in 2022 (businessinsider.in)

Inc42のデータによると、2022年上半期には合計78のファンドがローンチまたは発表され、資金総額は123億ドルを超えたとされています。主には、Sequoia、General Atlantic、Elevation Capital、Accelなどがインド向けのファンドを発表しています。

(参照元:Startup Funds Worth $12.3 Bn Announced In 2022 So Far (inc42.com)

日系では、GMOグループがインド太平洋向けのファンドを発表して、インド向けの投資を強化するという発表がありました。

(参照元:GMO Fintech Fund 7 設立 インド太平洋エリアのFintech・脱炭素テックへの投資を強化 |GMOインターネットグループのプレスリリース (prtimes.jp)

ユニコーンの数も見てみると、2022年は19社のユニコーンが生まれています。

2021年の44社と比べると、少ない印象を受けますが、2020年の11社をすでに超えているので、30社くらいの着地で終わるのではないかと想定しています。

(参照元:List of 105 Unicorn Startups in India | Top Unicorns in India (startuptalky.com)

ここまで見てみると、ネガティブ要因は確かにあるものの、VCによるファンド組成を見るにインドのスタートアップに対する期待値は高いと想定され、引き続きユニコーンは生まれ、資金も流入していくと想定します。

加えて、うまくいくところとうまくいかないところの差が如実にでてくるようになるでしょう。

最近、倒産してしまったアグリテック企業の話をアップデートしたのですが、以下のような傾向がありました。

■無理なトップライン設定

■売り上げを作るための原価が高くなってしまい、調達したファンドを浪費してしまった。

■トップラインの達成以外考えておらず、利益等は考慮していなかった。

流石に上記の例は極端ではありますが、マクロ経済状況が厳しい中、単にトップラインだけを目指す傾向から、利益を出して体力のある企業経営が求められるようになると考察します。

最後にポジティブ要因とネガティブ要因をまとめて締めます。

<ポジティブ要因>

■2023年には人口動態で中国を抜くと言われているほどの潜在性の高さ

■主要ファンドが新規ファンドを組成して注目している。

■リープフロッグ的な展開を見せるフィンテックなどの領域あり

<ネガティブ要因>

■気候変動による農業の停滞懸念

■中国と比べた際にどこまで中国のように伸びるかは未知数

引き続き現場から状況アップデートしてまいりますので、乞うご期待です!

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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