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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

英国で初めてのプラチナ・ ジュビリーにわいた4連休

 このコンサートのオープニング映像もSNSで大きな話題になった。エリザベス女王がくまのパディントンと宮殿でお茶するほほえましいシーンを演じたのだ。映像は映画『パディントン』シリーズの制作陣が担当した。2012年のロンドン・オリンピックでは、ジェームズ・ボンドと共演してパラシュートでスタジアムに飛び降りた(という設定の)経験のある女王は、今回も演技がなかなかうまく、いつも持ち歩くハンドバッグに何が入っているのかという世界中の疑問にも答えてくれた。国内でも大反響で、翌日の新聞各紙はこぞってこの内容を一面で取り上げた。

YouTubeの王室公式アカウントの投稿より、祝賀コンサートのオープニング映像。映画『パディントン』シリーズの制作陣によるこの映像は、世界中の大人も子どもも知っている2人(1人はクマだけど)を共演させて、それぞれがいつも持ち歩くマーマレード・サンドイッチとハンドバッグを出してきたのがうますぎる。動画の最後にティーカップを叩くことまで承諾したエリザベス女王はやはりユーモアのセンスがあるのだろう。ぜひご覧になって!

 連休最終日に行われたプラチナ・ジュビリー・パジェントは、他ではあまり取り上げられていないけれど、想像以上に見ごたえのある大パレードだった。約1万人が参加してまるでリオのカーニバルかディズニーランドのパレードのように大がかりだった上、中には1年前から準備したものがあったほど、ひとつひとつの出し物も凝っていた。エリザベス女王の70年間を10年ごとに区切って振り返ったり、英連邦諸国の独自の文化や自然を表現したりして、懐かしさとともにこの国の歴史と自身の人生を重ね合わせた人も多かったのではないかと思う。わたしにとっては暮らしや文化という視点でこの国の足取りを一気におさらいすることのできた貴重な時間だった。

BBCのInstagram投稿より、プラチナ・ジュビリー・パジェントのハイライト映像。10年ごとに振り返る場面では、その世代に活躍した著名人も2階建バスから沿道に手を振っている。

 出し物では、ありとあらゆる要素がごっちゃに飛び出して、中継していたBBCやSNSでも「このエキセントリックさは非常に英国らしい!」とコメントされていた。途中で車が故障して人が押して歩く場面でも、「これぞ英国だ」とテレビの解説者が大笑いしていたけれど、わたしから見ると、それ自体が英国らしかった。

 ロンドンの街は、祝賀行事が始まる数日前から大いににぎわい始め、連休中はユニオンジャックや女王の写真が飾られた街を自分の目で見ようと人が繰り出して大混雑した。ジュビリーとあまり関係のなさそうな中華街でさえ、のろのろ歩きしかできないほどだった。10年前の即位60周年のお祝い、「ダイアモンド・ジュビリー」の時より人出が多かったと思う。そしてどこに行っても喜びの空気があった。特別な現象があるわけではなくて、ただその場に喜びが漂っている感じだった。ロンドン・オリンピックと重なった10年前のジュビリーの時に感じた世界中からの観光客を歓迎するムード、あるいは21年前、天皇皇后両陛下に愛子様がお生まれになった時に(当時住んでいた)東京の街じゅうに広がった雰囲気に似ていた。

 プラチナ・ジュビリーでは相当な数の記念グッズが販売された。記念の切手やコイン、紅茶やマグカップという伝統的なものから、お菓子類、エコバッグやティータオル(洗った食器を拭くもの)など本当にさまざま。それぞれにジュビリーの公式ロゴや女王の顔、王冠、愛犬のコーギーたちなどがあしらわれていた。お祝いのパーティーに向けて、エリザベス女王の写真を印刷したシートや風船、Tシャツなどのパーティーグッズも多かった。

 記念グッズは全体によく売れたようで、わたしが狙っていた記念缶入りのビスケットは早々に売り切れてしまった。顔見知りの郵便配達員さんの話では、ジュビリーの連休前には小さな包みの配達がぐっと増え、それが終わったらぱったりなくなったということだ。後になって、海外から友人経由やネットで買ったという話も聞いた。英国王室グッズが世界的にもそんなに人気だったとは! 

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売り切れ続出だった中で、かろうじてわたしが手に入れた記念グッズ。左のエコバッグにはプラチナ・ジュビリーの公式ロゴが付いている。このロゴは若者からの公募で選ばれた作品で、制作者は19歳のエドワード・ロバーツさんだ。 この公式ロゴは、プラチナ・ジュビリー関連では無料で使うことができた。筆者撮影

 プラチナ・ジュビリーでは、大小さまざまなストリート・パーティーが各地で開かれた。家の前の通りにずらりと長くテーブルや椅子を並べて、ご近所さんとお茶を(たぶんお酒も)楽しむ伝統的なお祝いのしかただ。エリザベス女王の戴冠式の時にもずいぶんあったそうで、まだ小さかった夫がテーブルの脇で三角帽子を被っている白黒写真を見せてもらったことがある。今回は政府もストリート・パーティーの開催に積極的で、ポスターのテンプレートをサイトから無料でダウンロードすることができた。

 わがフラット(集合住宅)でも顔見知りのご近所さんが企画してくれて、わたしも人生初のストリート・パーティーに参加することができた。ただ会場はフラットの共有の庭なので、厳密にはストリート・パーティーじゃないなあと思っていたら、ストリート以外の、たとえばスポーツ用のグラウンドとか、ちょっとした緑地が会場ということもよくあるようだ。よかった!

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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