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ラッシャー貴子|イギリス

無料のコロナ検査キットを試してみた

 ウェブサイトには、キットの受け取り方はオンラインで注文して郵送で(1、2日で届くそう)、職場や学校を通じて、NHS(国民保健サービス)が登録した薬局で、などと書いてある。ところが先日、ロンドン市内で道行く人にこれを配っているのを目撃した。道ばたで、まるでティッシュでも配るように箱を渡していたのだ。場所は若者が集まるソーホー近く。検査が思ったほど広まらなくて配っているのか、それとも若者にも積極的に検査を受けてほしくて始めたのか。ただ残念ながら、その場で受け取っている人はほとんどいなかった。ティッシュを受け取る確率より低かったんじゃないかと思う。確かにこれを道ばたでいきなり渡されてもちょっと怖いし、本物かどうかどうかも確かめにくい。わたしも受け取らない気がする。もっと派手に宣伝しながら渡したら受け取るかしらん。

 今回わたしは薬局でキットをもらうことにした。処方箋カウンターでキットの話をすると、住所も名前も聞かれず、あっけないくらい簡単に箱をぽんと手渡された。一応ね、という雰囲気で、使う人の年齢と使う目的を質問されただけ。ちょっと拍子抜けだったけれど、個人情報は検査結果とともに知らせるので、この時点では必要ないと後でわかった。

 そしてもらってきたパックに入っていたのが、こちら。1箱に検査7回分が入っている。

検査キット - 2.jpeg

 すべてきちんと包装され、検知器も個別に手前の白い袋に入っている。使った器具を廃棄するポリ袋も付いている。清潔に保つことは絶対に必要なんだけど、コロナ禍では使い捨てできるポリ袋やプラスティックを使うことが増えていて、やはり心が痛む。非常時なのはわかっているけど、そうだけど。筆者撮影

 先日、日本の友人とオンラインでおしゃべりしたとき、彼女も職場でもらって持っていると言うのでお互いに見せ合ったのだけど、彼女のキットはアメリカ製。検査方法はよく似ていた。調べてみると日本でも無料配布している地域や職場があるようだ。(追記:日本の友人のキットも中国製だったと初めに書きましたが、アメリカ製だと指摘してもらい、訂正しました。最初に読んだ方、失礼しました!)

 そして、いよいよキットを使ってみた。説明書は図入りでかなり詳しく、まず手を洗って、検査する場所も清潔にしましょうというところから始まっている。準備として、柔らかいプラスティックの小さな試験管状のものに試薬の液体を入れ、中箱に開けられた穴に入れて立てておく。一度鼻をかんで余分な水分を出し、さらにもう一度手を洗って検査を開始。

検査キット - 3.jpeg

中箱を利用して管を安定させるなんて、コンパクトながらすばらしい設計。こういう業界では当たり前なんだろうか。理科の実験やおもちゃを思い出して、不謹慎にも少し楽しくなってしまった。筆者撮影

 まず長い綿棒のようなもので検体を取る。喉の奥、扁桃腺のあたりを左右4回ずつぐりぐり、その後に同じ綿棒で鼻の奥をやはり左右4回ずつぐりぐりする。「痛く感じるほど深く入れてはいけません、でもあまり浅くてもサンプルが取れません」とあるので、ゆっくりと奥の方まで入れてみたけれど......思い出すのもいやなレベルで不快だった。検査をできるだけ避けるためにも、感染は絶対にしたくないものだ。これを週に2回もやっている人、特に子どもたち、本当にえらい。何度もやっていると慣れるのかな。

 その後、立てておいた試験管に綿棒を入れ、試験管自体をぎゅうぎゅうと揉むように15秒間押して検体と試薬をよく混ぜる。さらに試験管に付いているスポイト状のフタをかぶせ、そこから検知器に試薬を2滴たらす。30分待って、判定窓の両方に線が出たら陽性、線がCに1本だけならめでたく陰性、線がまったく出ないか、Tに出たら無効(下の写真をご覧ください)。わたしは無事、陰性だった。

検査キット - 4.jpeg

Sの部分に試液をたらして30分、その上の判定窓に結果が出る。筆者撮影

 検査の後は、電話かウェブサイトでNHSに結果を報告する。サイトから入力すると初回だけアカウントを作ることになるが、その後は検知器にあるQRコードかID番号と結果を入力するだけで、いたって簡単だ。しつこいようだけど、陽性の人はすぐにPCR検査を受けましょう。

 この検査は週に2回受けることが推奨されている。今回は陰性とわかって、外出する時の不安は少し和らいだものの、これから何度も綿棒ぐりぐりをするかと思うと、今度はそっちでなんだか気が重くなっている。ああ、もうほんとに早くコロナ終息して。

 

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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