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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

ダブリンで会って魅かれたイタリア文化2

イタリアで初めて暮らしたマルケ州の懐かしく温かい友人たちと、二人が営むすてきな商品いっぱいの店、Casabella Home Urbaniaの前で。 2019/1/2 photo: Naoko Ishii

イタリア人の学校仲間の温かさ、人生を楽しもうとする姿勢

 ダブリンの語学学校のイタリア人のクラスメートたちは、おそらくは、自分たちイタリア人だけでいっしょにいたら、英語ではなくイタリア語で話してしまうという考えもあってのことでしょうけれども、自分たちの集まりに、いつも他国出身のわたしたちも誘ってくれて、と言うよりは当然のように巻き込んだので、結局2週間の間、わたしは、クラスの皆と朝はいっしょに授業を受け、昼食をいっしょに食べてダブリンの町を散策し、夕食にはホームステイ先に帰って、食後はまたバスで中心街に戻って、皆とパブで遅くまでおしゃべりをし、週末は学校の観光バスで、あるいは自分たちでいっしょに観光を楽しみました。

 ちなみに、毎朝乗っていた郊外から中心街へ向かうバスで、時々ダブリンの人が、「イタリア人は本当に大きい声で話すのだから」とつぶやくのが聞こえたのですが、確かにイタリアの人は、わたしたち日本人やアイルランドの人よりも、かなり大きな声で話す上に、おしゃべりが好きです。会話の際の声の音量やどういう場で話すかは、文化によって違い、確かにイタリアに暮らしていると、授業中以外は日本で暮らしていたときのように声を抑えて話しがちのわたしは、「もっと大きい声で話してほしい」と、特に耳の遠くなった義父母から言われることがよくあります。また、イタリアの人はおしゃべりが好きで、声が大きいけれど、こちらに暮らし始めて、南アメリカには、どちらもそれを上回る文化もあることを知りました。

 閑話休題。そうやって、できるだけいつも大勢で過ごし皆と話そうと、仲間として迎えてくれたイタリア人の学校仲間は、日本の文化や歴史について興味があったようで、様々な質問があり、皆に答える中で、わたしも新たに、イタリアをはじめとするヨーロッパ文化と比較しての日本の独特の文化を、認識することができました。また、日本では漠然と、留学中、平日は帰宅したら授業のおさらいをするだろうと考えていましたし、ホームステイ先の郊外から中心街までのバスの移動も手間と時間がかかりはしたのですが、イタリアの仲間たちは、「今ダブリンという外国の町にいて、新たに知り合って短い間だけいっしょに過ごせるイタリアや世界の他国からの友人がいるのだから、24時間充実した日々を送ろう」と言わんばかりに、授業が終わってうちに帰ってほっとするのではなく、また夜も集っておしゃべりを続けていました。英語で話すわけですから、それも英語の勉強につながるわけです。

 アイルランド文化に魅かれてダブリンに行ったわたしは、そうして、イタリアの人とその生き方、人生の楽しみ方に魅かれて、帰国しました。

帰国後はイタリア語学習・イタリア留学、そして今

 異なる文化や人への関心が高く、今このときを楽しもう、充実したときを過ごそうと生きるそのイタリアの人たちの知的好奇心や教養、人生哲学や、人なつっこい温かさに感嘆したのです。そして、そういう彼らが生まれ育ったイタリアという国や文化をもっと知りたいと思い、まずは、サルデーニャのクラスメートに、翌年の夏二人に会いにサルデーニャ島に行くという約束をし、イタリア語の勉強を始めました。

 そうして、旅を繰り返すうちにイタリアにさらに魅かれ、結局は2002年からイタリアに語学留学をし、2005年秋に大学の学位取得課程を卒業して職を得て、まだ学生だった頃につきあい始めたイタリア人の夫と2007年に結婚して、今では18年間イタリアに暮らしています。

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高校の離任式で、担任をしていたクラスの生徒たちに留学の理由・予定を伝えようと書いた「直子の渡伊日記I 出発編」

 最初に留学したマルケ州の小村は、人が温かく皆が親切でした。けれども、長いイタリア生活の中では、役所手続きなどで問題があって困ったと思うことも少なくありません。夫とも、生まれ育った文化が違う上に、二人ともいい年になってから結婚したので、衝突することも時々あります。

 けれども、わたしの場合は、最初に魅かれたのが、何よりもイタリアの人たちであり、そういう人たちを生み育てたイタリアという国の文化であったため、またダブリンで出会った、様々な地域出身や職種も多様なイタリアの人たちを知っていたこともあり、イタリアに今もべた惚れというわけではないのですが、総合的に考えて、今も暮らしやすく、人々が温かい、いい国だなあと感じています。自然や町、芸術や歴史などのすばらしさは言うまでもなく、言わば、恋が愛に変わって、いろいろあるけれど愛おしい、時に思いがけない魅力を今も見せてくれるいい国だなあと、今はそんなふうに感じています。

【参照リンク】

Casabella Home Urbania

「直子の渡伊日記Ⅰ 出発編」

里帰り ベファーナの町、ウルバーニア

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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