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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

ダブリンで会って魅かれたイタリア文化

サルデーニャ、オルビアの海と白い砂浜. 2007/9/6 photo: Naoko Ishii

 わたしがイタリアに興味を持って、イタリア語の学習を始め、さらには、2002年春に高校国語教諭の職を辞して、イタリアに留学したいと思うまでに、イタリアとイタリア語に夢中になったきっかけは、ダブリン英語留学での、イタリア人の学校仲間たちとの出会いでした。

 1999年の年明けを『風と共に去りぬ』と続編の原書を夢中で読んで迎えて、アイルランドの文化や人々に魅了されたわたしは、その夏、夏休みの直前になって何も計画していないことに気づきました。宿も飛行機も予約が難しいほど直前に思い立ったため、語学学校に通ってホームステイすれば、宿も楽に見つけられて、観光の仲間もできると考えたのです。

外国でも同胞と集い、学校外でも親睦を深めるイタリア人

 その夏、ダブリンで2週間英語を学んだ語学学校は、学校も、そしてわたしが通った上級クラスも、生徒の半分がイタリア人でした。時には、グループでドラマの脚本を作成し、演じるようにという授業もあり、イタリア人のクラスメートの独創的な発想や演技力に感嘆しました。

 クラスには、ミラノの男子学生、サルデーニャの社会人女性二人、そして、スペイン人とポーランド人の男性がいました。これまで18年イタリアで暮らしてきて思うのですが、イタリア人には、海外旅行や海外での滞在で知り合った同胞と仲よくなって、多くの時間をいっしょに過ごす人が多いようです。夫の友人の中にも、旅行先の外国で知り合って、今も交流が続いているという人が少なくありません。このときも、わたしが知り合ったイタリア人の生徒たちは、サルデーニャの女性二人も含めて、この学校で互いを初めて知ったという人ばかりだったのですが、イタリア人生徒たちは、昼食や午後の散歩や、夜のパブでのおしゃべり、週末の小旅行まで、たいていの場合、皆でいっしょに過ごしていました。

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ジェラート片手にペルゴラの公園を散歩 2019/9/1 photo: Naoko Ishii

 中でも親しくなった、当時わたしとほぼ同年代で30代前半だったサルデーニャの女性たちが、リンゴやアイスクリームを食べながら町を歩くのに、当時はひどく驚いたものですが、今ではわたしも時々、買ったジェラートを食べながら、夫や友人と歩くことがあります。

身体接触が多いイタリア文化、感染下で取らねばならぬ対人距離へのとまどい

 また、会ってあいさつをするのに、顔を寄せ、両頬を近づけてするあいさつには、困惑しました。いずれも、今はわたしは慣れましたが、男性の友人から、「駅で日本人の男性の友人に久しぶりに会って、抱きしめてあいさつしたら、相手が固まってしまった」と聞いたこともありますし、外国語教育研究で、「中国人の母親が、学校に迎えに行った子供を抱きしめずに距離を置いているのは、冷たいのではなくてそういう文化なのに誤解を招いた」という事例を読んだこともあります。あいさつの両頬のキスや抱擁に限らず、イタリアの文化では、日本に比べて対人距離が短く、身体接触が多いのです。

 そのため、新型コロナウイルス感染を防ぐために、互いに安全な距離を取り、接触を避けなければならないという現在の状況が、イタリアの人にはきっと、日本のわたしたちよりも、ずっと辛いのではないかと思います。感染を避けるには、日本のように対人距離を十分に取って、あいさつはお辞儀でするのがいいなどというS N Sの投稿も何度か見かけたように思います。ただ、講演でジョルジョ・チェルクエッティが、「健康にいい無料のプロバイオティクス、それは、キス、抱きしめること、優しくなでること、触れること、そして、ほめ言葉です。」と語るのを聞いて、なるほどと思ったことがあり、セクハラはいけませんし、感染が蔓延する現状では、コンテ首相も言うように、同居する家族でなければ「キスも抱擁も論外」ではありますが、友人同士や家族の間での適度なスキンシップは大切だと思います。(つづく)

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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