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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

増え続けるアジア系ヘイトクライムに対しアジア系セレブが抗議活動

©iStock

ニューヨークでは、アジア系に対するヘイトクライムが日に日に増していくばかり。ヘイトクライムをやる側が、時折、これまでアジア系と同じようにアメリカで差別され、差別に立ち向かってきたマイノリティーだったりするケースがあるのも残念だ。なぜ弱い立場の者同士でさえ戦わなければならないのか?おそらくアジア系はマイノリティーの中でもっとも、声をあげないで我慢するという、弱いイメージがあるからだろう。

コロナ禍で制限されている生活に不満がつのったり、精神的に参ってる人も多い中、「チャイナウィルス」とトランプ前大統領が発言したこともあり、人々の憤りのホコ先は、その弱いイメージのアジア系へ向かってきたってわけだ。特にアジア系女性は被害にあいやすい。

2012年、米大手ファッションブランドが発表していた芸者をイメージした下着が、性的偏見を助長するとしてアジア系米国人の間で批判が高まっていたことに、「なぜソコまで?」って疑問に思ってたのだが、今更ながら疑問に思ってたことが悔しい。過去に私たちアジア系が声をあげず、小さな偏見を潰してこなかったせいで、今になってアジア系女性がアメリカ人男性から性差別を受けていることも事実。→ビジネスインサイダーの記事リンク

昨年10月CNNアンカーでありジャーナリストのアマラ・ウォーカーさん(アジア系アメリカ人)が、ニューオリンズのエアーポートで1時間の間に3人から差別を受けSNSにアップした内容をCNNで本人が語った動画がある。

アジア系は、人種を問わずアメリカ人からの差別を受けているのだと感じる。そして今、アジア系アメリカ人たちが応援することもあり、アジア系のセレブたちを先頭に、アジア系のアメリカ人らが、公での抗議活動はもちろん、SNSやオンラインビデオでアジア系ヘイトクライムに対する抗議活動を増やしているのだ。

〜アマラさんが受けた差別についてビデオの内容を私なりの解釈と言葉を加えわかりやすく以下に要約してみた〜

男性が、突然彼女に向かって「ニイハオ」と言った後に「チンチョン」という差別用語を言い放った。加えて、コロナ禍なのにマスクを外して近づいてきた。憤りがおさまらず、「あなたは差別用語を言ったのよ」と直接言い返したが、「なんのことだ」と、したり顔でとぼけられた。(おそらく人種は南アジアのエリア出身だったということから、マイノリティーからも、アジア系女性は差別を受けているということだ)

憤ったまま、ゲートに座って待っていたプロデューサーにその話をしてたら5分後に、今度はまたマスクをしていない別の若い男性から「英語は話せるの?」と聞かれた。なぜアジア人のルックスというだけで、英語ができないって決めこむのか?「だったらあなたは何語を話すの?」と聞き返すと、男性はモゴモゴと閉口したままだった。そのうちに周囲の人たちから「パンデミックなのにマスクもしないで、彼女から離れろ」という声があがってきた。

プロデューサーが事のなりゆきを巨漢なポリスに話したところ、「英語が話せるのか?と聞かれることは、差別ではないんだ」と凄まれた。アマラさんとプロデューサーは、とても脅威に感じ、それ以上は言及できなかったという。アメリカで生まれ育った自分が、アジア系というルックスというだけで、アメリカ人として溶けこめないまま外国人とされ、英語が話せることを、アメリカ人なのだと証明しなければならないのか?

このように理不尽なことは、アマラさんだけに起こっているわけではない。アジア系アメリカ人が常に直面する状況であり、これほど酷い目にあわなければ、私も声をあげなかったかもしれないと締めくくった。

ロニー・チェン(コメディアン、俳優)の2016年にFOXニュースで実際に流れたNYチャイナタウンでのジェシー・ワターズ(保守的な政治評論家)の取材に対しシニカルにコメントしている映像がThe Daily Show with Trevor Noahに近日アップされていた。アジア系アメリカ人に対するステレオタイプで笑える。2016年の放送ではあるが、これが今もアメリカ人のアジア系に対する一般的なイメージだろう。



アジア系アメリカン初の女子フィギュアスケート、オリンピック選手であったクリスティー・ヤマグチさん(1992年、フランスのアルベールビル冬季オリンピックで金メダルを獲得)もアジア系アメリカ人がヘイトクライムにあってることに対して抗議の声をあげていくことによって、解決策を見いだせればとMSNBC放送の取材に応じている。

社会慈善家として活動しているマイク・キムさんがLinkedInで公開したビデオに衝撃を受けた。マイクさんご自身もアメリカで生まれ育ったアジア系で、ヘイトクライムの中で生き抜いてきた1人である。中でもミッシェル・ハナブサさんという女性の話が泣けた。アメリカ人の友人らと男の子の家へ行ったとき、「なぜモンキーが、この部屋にいるの?」とその子の母親から言われたことがあったのだという。大人になってからも涙なしでは語れないなど、相当に心の傷は深いものだっただろう。

彼女は、アジア人への偏見に負けないため、自分のルーツを探り、アジアの慣習や文化がステキなんだ!と声をあげていくのだと決めた。現在はHate is a Virusの運営を担っている。

海外へ行ったとしても、観光地以外の場所へ足を踏み入れたことのない日本人なら、日本人がアジア圏以外ではマイノリティーで差別される側なのだということを知ることはない。日本にいればそれで大丈夫なのだから、それでもいい。(私の場合は自分が好きで海外へ出てるんだからって言われるかもしれないが。。。)だが、少しでも他の民族と共存するために頑張っているアジア系の状況を知っておいていただければ、ありがたい。

以下は、マイク・キムさんらが公開しているビデオのリンク。ブライアン・ニシヤマさんのように、私の長男も幼い頃、ノリで巻いたオニギリを持っていくと、クラスメイトに「Yuck 気持ち悪い」って言われるからってサンドイッチばかり持っていってた時期があった。成長するにつれ自分のアイデンティティが確立してきて、アジア系とのミックスだということに自信がついたとき、周りのコメントに負けないようになって、オニギリを持っていけるようになった。

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著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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