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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

NYで自閉症の子を育てる〜その1

©iStock World AUTISM Day 世界自閉症啓発デーとは、国際連合が毎年4月2日に定めた、自閉症の啓発を目的とした記念日。2021年も4月2日に予定されている。

NYで自閉症のお子さんを育てている日本人ママに取材させていただきました。以前に彼女とプライベートで、おしゃべりしていたとき「テレビに出ているセレブシェフが学校へボランティアに来たりすることもある」というお話をうかがったことで、どんなサポートを受けているのか、興味をもちました。

自閉症のお子さんを育てるのは、どこにいても大変だとは思いますが、NYではこうしたお子さんたちのために様々なイベントが開催されているそうです。今回は取材させていただいてファッション・ショーもあるということを知り、さらに興味深かったです。イベントに関しては後半の記事に掲載となりますが、まずは、なぜ彼女がお子さんをNYで育てることになったのかというところからお話をうかがいます。

ーNYで自閉症のお子さんを育てるきっかけが何かありましたか?赤ちゃんの頃って、見た目には他の子と変わらないと思うのですが、お子さんが何歳くらいのときに自閉症だとわかったのですか?

「主人がNYに駐在していたときに長女が生まれました。1歳くらいになると早い子は、ちょうだいとかバイバイくらいの言葉は出るようですが、うちの子は出ませんでした。

たとえば2歳のころに『ゴミを捨ててきて』ってお願いしても、捨ててこれないといったようなおくれはありましたが、一人っ子だから、おくれてるんだろうって思っていました。3歳になったころ、さすがに何も話せないのはおかしいと思って自分でインターネットを使ったりして調べたところ、自閉症ではないのか?と疑いました。

アメリカでは、3歳以下から自閉症の子にセラピー(治療。療法。薬や手術などによらない心理療法や物理療法)を始めるという情報をみつけました」iStock-1185079018.jpg

©iStock

ーご主人の赴任がきっかけでNYに駐在されていたわけですが、子育てのためにNYに戻ってきたのはなぜですか?慣れない専門用語とかも英語で聞き取る必要があるわけですから、とても勇気がいると思います。不安はありませんでしたか?

「まず、子供は国が育てるというのが、アメリカには根本的にありますから、アメリカに住んでいるほうが子育てに関しては、様々なサポートがしっかりしてます。ですから、子供を育てやすいと思ったこともあります。

次に、自閉症スペクトラム障害(※ASD)に関して、日本では、発達障害として一括にされてしまいがちで、特定が困難です。そのため、日本ではなんの発達障害かわからないままで終わらせてしまうことが多いのです。

アメリカでは、発達障害も様々に分けられていて、たとえばトム・クルーズやトーマス・エジソンもそうだったように、字が読めないという※『失読症(ディスレクシア)』などは、発達障害の一つです。

日本は、精神科のカテゴリー分けもアメリカのように細かく分けられていないようで、精神科という一つに統合されてしまいがちです。アメリカは、その点、学ぶときから学部も細かく分かれています。ですからアメリカでは、発達障害や知的障害ではカテゴリーも大きく違うため、たずさわる医師もそれぞれに違います。

親もさまざまな知識を深めるために、無料のワークショップ(集会)があります。私たちは夫婦でこのワークショップに参加していました」

※ASD(Autism Spectrum Disorder 自閉スペクトラム症) : 対人関係が苦手・強いこだわりといった特徴をもつ発達障害の一つ。

※失読症 (dyslexia ディスレクシア): 学習障害の一つで、会話能力や眼にも異常はないが、脳の内部で言語を処理することができないために、文字の読み書きができない、時間がかかるという障害を抱えている。

ーNYに来てから、お子さんのために具体的に行ったことを教えてください。

「スピーチ、フィジカル、※ABAセラピーといった、すべてのセラピーを受けさせようと思って、NYにもどって来ました。日本でABAセラピーは、1時間、1万円と高いです。もし完全にやろうと思ったら週に40万円以上かかるんです。それに当時はABAセラピストが日本にはいませんでした。

アメリカでも毎日8時間は、セラピストと過ごすのが最低ラインです。本当はもっとやらないとダメで、家もプリスクールから帰ってきたあと、ABAセラピストと5時間くらい過ごしてました。

お風呂、食事、着替え、靴をぬぐ、トイレといった日常のことも、親だけではとてもサポートできません。プリスクールに行ってない子は、一週間でABAセラピストと40時間すごす。それくらいやらないと効果はでません」

ーNYでは、そうした様々なセラピーの支払いは、どうやって負担するのですか?

「住んでいる区域が支払ってくれます。3歳以下は、NY州だと(州によって取り決めは違う)すべて平等で、どの地域に住んでいても、無料でカウンセリングが受けられます。プリスクールからは、学区で支払ってくれるようになります。

学区によっては、普通の学校のスペシャルニーズクラス(特別なサポートが必要な子供のクラス)でなくても、シュタイナー教育も受けられますし、うちの学区には、ABA主体でやっている発達障害の子のための学校があるので、そこへ通っています。

ちなみにプリスクールは、YAI(NY私立のプリスクール)という、スペシャルニーズの子が行く専門の学校に行ってました。そこには、※ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子もいました」

ABAセラピー (Applied Behavior Analysis 応用行動分析学):1970年代からUCLA大学でアイバー・ローバスとロバート・ケーゲルによって開発され、アメリカを中心に発達した、行動分析学の見地から学習と学習者のモティベーションを科学的に分析し手助けするセラピーですhttp://www.lovaas.com/about.php

※ADHD(注意欠陥・多動性障害): 年齢あるいは発達に不相応に、不注意、落ちつきのなさ、衝動性などの問題が、生活や学業に悪影響を及ぼす。

ーお子さんに、セラピーが必要だという診断に関する費用は、どれくらいかかりますか?

「ドクターには、5000〜10000ドル(日本円でおよそ52万7千円〜105万円くらい)で査定から診断から全て含まれています。診断書を書いてもらうたびに費用は発生しません。あと、これは私の経験なので、必ずしもこの診察料金が正しくないです」

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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