コラム

山梨県東部「郡内地方」を横断 交通の要衝を徒歩で実感する

2019年05月23日(木)17時00分

◆静かな街道筋の村

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人影もまばらな集落の一角=山梨県大月市

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狭隘な地形にある旧街道筋の集落=山梨県大月市

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藤の花が咲く民家=山梨県大月市

大月の市街地が途切れると、少しずつ角度を増してゆく上り坂の街道筋に、点々と集落が現れては消えていった。これまで沿ってきた桂川は、支流の笹子川になった。笹子川の源流は笹子峠の頂上である。川が流れる谷はその先端に向かって少しずつ狭まり、閉ざされた地形の終点に向かう感覚が強まってゆく。

出会う人影はまばらで、それがさらに"突端"に向かう気分を盛り上げた。僕は、電車の終点や半島の突端といった突端=地の果てを目指す旅が好きだ。その先の未知の世界に希望を感じながら、永遠にたどり着くことができないユートピアを目指しているのかもしれない。

前回まで沿道を彩っていた桜は、行程の終盤まではほとんど散っていたが、標高が上がるにしたがって遅咲きの桜も点在していた。とはいえ、ゴールデン・ウィーク1週間前の日差しは、早くも初夏を感じさせる暑さだった。そんな中、初狩駅の手前で国道20号の100キロポストに到達。思えば、2月15日の第1回で、東京都心の甲州街道の起点付近を通過してから、それだけの距離を歩いてきたわけだ。少しずつ日帰りで歩いては繋いでいく旅なので、一気に100キロ歩いてきたわけではないのだが、それでも感慨は深い。

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JR初狩駅手前の国道20号・100キロポスト=山梨県大月市

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村の片隅にひっそりと咲いていた遅咲きの桜=山梨県大月市

◆高齢化した光景への視線

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出会う人のほとんどはお年寄りだった=山梨県大月市

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初夏を感じさせる陽気の中、農作業に向かう人=山梨県大月市

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笹子峠手前の村の一角=山梨県大月市

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郡内地方では集落ごとに火の見櫓を見かけた=山梨県大月市

山に向かう田園地帯と集落で出会った人々は、ざっと20人くらいだろうか。その中で、若い人は1人、外から来たと思われる中年男性の釣り人が1人。あとは高齢者だった。その半数以上は、農繁期を迎えて農作業に勤しんでいた。この旅は、甲府盆地から長野県を経て、日本海側の新潟県糸魚川市を目指している。通過地点は「田舎」が大半を占めるから、これからはもっと年老いた光景を目にすることになるだろう。

とは言っても、日本の高齢化は今さら驚くことではないし、長い目で地球全体のことを考えれば、増えすぎた人口が減ること自体はむしろ良いことだ。だから僕は、こうした日本の田舎の光景を、人口が爆発した高度経済成長期以降の日本を再構築する序曲として、究極的にはポジティブな視線で見ている。そこに至るまでの苦難の程度をいかに抑え、新しいニッポンへ軟着陸できるか。そこが問題であろう。

笹子川の流れはどんどん狭くなっていき、しだいに渓流の様相を見せ始めた。谷が狭まり、進行方向の左から順に、JRの線路、笹子川、国道20号、中央高速が谷筋の狭い通路に集約されていく。まさに交通の要衝であり、ボトルネックである。もし、日本列島が戦場になったら、このあたりは首都を伺う進軍路の防衛拠点として、激戦地になるのではないか。そんな余計な妄想をしているうちに、日が傾く前に目標の笹子駅に到着。2019年4月25日15時54分のことであった。

『日本横断徒歩の旅』の"平成編"は、これにて終了。令和元年となる次回は東京脱出時と同様にパーティーを組んで、軽登山で笹子峠を越える。

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笹子川と国道、中央自動車道が狭い地形に集約されていく=山梨県大月市

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笹子駅手前の貯木場。「山」が近いことを感じさせた=山梨県大月市

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今回歩いた大月駅前--笹子駅のコース。笹トンネルの手前まで歩いた:YAMAP活動日記

今回の行程:大月駅前--笹子駅(https://yamap.com/activities/3497179
・歩行距離=13.4km
・歩行時間=6時間02分
・高低差=244m
・累積上り/下り=394m/152m

プロフィール

内村コースケ

1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。外交官だった父の転勤で少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験。かねてから希望していたカメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、海外ニュース、帰国子女教育、地方移住、ペット・動物愛護問題などをテーマに執筆・撮影活動をしている。日本写真家協会(JPS)会員

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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