コラム

政治家の発言から考える...世界は粗悪さに向けて走っている

2026年02月06日(金)20時45分
マライ・メントライン(翻訳家、通訳、エッセイスト)

EUGENE HOSHIKOーPOOLーREUTERS

<高市首相の「働いて働いて...」発言の先には、トランプ大統領的な「雑」な主張とそれに快哉を叫ぶ人々、という世界的潮流があるとマライ・メントラインさんは喝破します。本誌1月6日号掲載コラムをプレイバック>

年初の時事社会系コラムで期待されるネタといえば「今年の展望」だ。そして、その根拠はおおかた先年の総括に由来する。

総括といえばその年のベクトルや空気感を象徴するワードが重要となり、故に流行語が......と言いたいところだが、わがジャパンの2025年新語・流行語大賞「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」は、いろいろな意味で微妙だった。


ツッコミどころが大いにあり、どこから斬り込むべきかが迷いどころで、故に結果的に批判によるダメージが分散した印象もある。一方で右派の礼賛ぶりがブレなかった点を見るに、あれはあれでフワッとした意味合いで各自に都合よく受け取ってもらう、という高等戦術だったのかもしれない。

時にドイツには、その年の流行語大賞(Wort des Jahres)と並んで「粗悪語大賞」(Unwort des Jahres)なるものが存在する。結果的に社会に拡散してしまった(あるいは、させられた)ネガティブ流行語が対象で、政治的な意図で新しく作られた表現、その中でも特に人権侵害・差別系ワードが多い。

過去の受賞ラインアップを見てみよう。2014年:Lügenpresse(嘘つきメディア=マスゴミ)、16年:Volksverräter(売国奴)、17年:alternative Fakten(オルタナティブ・ファクト)、22年:Klima terroristen(気候変動テロリスト)、24年:biodeutsch(純血ドイツ人)と、ドイツでなくても「名誉なき大賞」に燦然と輝きそうな言霊が並ぶ。ちなみに25年の大賞は26年の初めに決定される予定で、そこは日本の「アレ」と異なる。

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