「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言葉で伝える文化」と「行動で示す文化」を再考してみた
そして3つ目は、「マドロバ」という言葉そのものに宿る重みだ。
「神からの恵み」という宗教的、あるいは精神的なニュアンスを含んだこの語は、ちょっとした親切や日常の気遣いに対して使うには、どこか「重すぎる」と感じる人が多いのも事実だ。
ただし、ジョージア人が感謝の言葉を口に出さないからといって感謝していないわけではない。その代わりに「大好きだよ」「キスを送るよ」「ハグしたい」といった愛情表現が日常会話の中にはあふれている。
だからこそ「ありがとう」などとあえて言葉にすることが、どこかよそよそしく、水くさく感じられるのかもしれない。
このように行動や態度に感謝を託す文化もあれば、日本のように言葉で伝える文化もある。しかし、感謝の気持ちの本質は世界中どこに行っても変わらないことだけは確かだ。
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
TEIMURAZ LEZHAVA
1988年、ジョージア生まれ。1992年初来日。早稲田大学卒業後にキッコーマン勤務を経て、ジョージア外務省入省。2021年より駐日ジョージア特命全権大使を務める。共著に『大使が語るジョージア』など。






