「日本人に見えない」多様な五輪選手の顔ぶれに、日本の明るい未来が見えた
YOHEI OSADA/AFLO SPORT
<イラン人の筆者が来日した20年前と比べて、日本は「日本人に見える日本人」だけの国ではなくなった>
東京2020オリンピック・パラリンピックの前半戦、オリンピックが閉幕した。新型コロナウイルスの感染拡大という難しい状況でもひとまず開催できたのは、ひとえに現場で働く人やボランティアの努力のおかげだろう。まだパラリンピックが控えているが、頑張った方々をまずはたたえたい。
今大会で今までになく興味深かったのは、日本の選手たちの多彩な顔触れである。皆さんは、日本オリンピック委員会(JOC)のウェブサイトの選手名簿を見ただろうか?
そこには伝統的な日本人のイメージではない、片親が外国にルーツを持つ選手、あるいは両親共に外国出身という選手たちが多く載っている。街を歩いていてもテレビを見ていても、ミックスの人や、日本語ネイティブな外国人顔を見ることが最近とみに増えてきた。それでも今大会の日本選手たちの多様さは、その比ではない。
北米やヨーロッパの国々ほどではないが、韓国や中国の選手団には見られない多様さが、日本選手たちにはある。コロナ対策のまずさで日本は先進国の地位から脱落したという論調が目立ったが、人々の多様さという点では日本はやっと先進国になりつつあるのかもしれない。
私は2002年に日本に来るまで、イランで仕事をしつつ俳優を志して自主映画や短編映画に出演していた。当時はネットが気軽なものでなく、SNSで情報が世界中でシェアされる時代ではなかった。イランでの日本のイメージは、最先端の技術がある国際的な国、その首都・東京はニューヨークのような人種のるつぼ、というものだった。
今となっては笑うしかないが、そう誤解させるくらい、約20年前の20歳のイランの若者の周りには、自動車、電化製品、映画、アニメなど日本製のものがあふれていた。
自分は日本ではまともな俳優になれない
私は大学で勉強するため日本に来たのだが、当然その国際的な国=日本で俳優を続けられると考えていた。だが私は早々に現実を知る。留学生を除けば日本人しかいないし、日本語しか通じない。テレビには日本人しか出ておらず、たまに出演する外国人は道化やトリックスターにしか見えなかった。
日本は「日本人に見える日本人」だけの国であり、つまり私は日本ではまともな俳優にはなれないということだった。その事実は大きなショックだったはずだが、若い私はそれよりも日本語をマスターし、日本で生きる道を探ることに必死だった。大好きな日本から貪欲に学び、価値観を身に付け、日本社会に溶け込もうと努力してきた。
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