コラム

日本の皆さん、習近平は「シー・チンピン」でなく「しゅう・きんぺい」でお願いします

2021年06月30日(水)15時20分
周 来友(しゅう・らいゆう)

相手に伝わらないのであれば、何の意味もない。しかもこの片仮名表記、各社で統一されているわけでもない。

シー・チンピンもいれば、シー・ジンピンもいる。これでは、ただでさえ分かりにくい中国人の人名表記がさらに分かりにくくなる。

聞くところによれば、中国人名の現地読み表記が最初に採用されたのは、2002年の朝日新聞の記事。それがその後、20年近い歳月をかけ徐々に広まってきたようだ。

私の知る限り、保守派論客の櫻井よしこ氏の著書では「シー・チンピン」といったルビは振られていない。それを考えると、普及の背景にリベラル派による善意の配慮のようなものがあるのかもしれない。

とはいえ、中国では日本人の名前を中国語読みしているし、日本側に「中国語に近い読み方に変えてくれ」といった要請もしていない。

第一、私たちには漢字という共通の文字があるのだ。片仮名読みは相手が聞き取れなければ終わりだが、漢字なら筆談で伝えられる。

つまり相互主義の観点から言っても、利便性から言っても、やはり中国人名の表記は漢字+日本語読みがベストなのだ。習近平は「しゅう・きんぺい」、そして范冰冰(日本の漢字では範氷氷)なら「はん・ひょうひょう」と......。

はん・ひょうひょう? うーん、ちょっと違和感があるかも?

在日中国人にはなかなか頭の痛い中国人名の表記。日本の皆さんはどう思われますか?

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は小幅続落、ファーストリテが320円押し下

ビジネス

英GDP、5月は前月比-0.1% 予想外に2カ月連

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上

ビジネス

良品計画、8月31日の株主に1対2の株式分割
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story