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日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない

2026年3月6日(金)10時00分
舞田敏彦 (教育社会学者)

日本、韓国、アメリカの3カ国については、高校生が教員にどれほど敬意を払っているか、というデータがある(国立青少年教育機構が実施『高校生の勉強と生活に関する意識調査』2017年)。これによると、「先生を尊敬することはとても重要」と答えた生徒の割合は日本が21%、韓国が42%、アメリカは74%であって、<図1>のグラフ上の位置ときれいに対応している。教員の大学院卒率が高く、かつ保護者との差が大きい国ほど、教員への敬意は高い。

日本の教員の大学院卒率はわずか5%で、保護者一般と変わらないのだが、国内で見ると教員より保護者の学歴が高い地域もあるだろう。30~40代の既婚者の大学院卒率は全国値だと4.6%だが、東京だと9.1%となっている(総務省『国勢調査』2020年)。都心の23区だと値はもっと高い。

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<図2>は、保護者の大学院卒率に依拠して47都道府県と東京23区を塗り分けたマップだ。薄い色は保護者の大学院卒率が教員と同じくらい、濃い色は教員よりも高いエリアと考えていい。都市部ではこういうエリアが多く、教員を見下す「モンスターペアレンツ」も出てきやすい。

このような問題は以前から認識されていて、2012年8月の中央教育審議会答申では、教員の学歴要件を大学院修士卒に引き上げよう、という提言がされた。在学期間延長による学費負担増といった理由で見送られているが、教員になったら奨学金の返済を免除する制度を復活させてはどうか。なお、大学院に入る機会は入職前に限られない。在職中の教員が休職して大学院に入る、大学院修学研修の制度も用意されている。この制度の拡充も図るべきだ。

来年度から、5年間の「学部+修士課程」の一貫教育が制度化される。大学院卒の人材が少ないことを憂いてのことだが、まずは学校の教員の学歴要件を大学院修士卒に引き上げることから始めてはどうか。高度専門職としての自負を教員に持たせ、かつ保護者をはじめとした国民一般にもそうした認識を持ってもらうためだ。

無関係のようにも思えるが、こういうことも教員の働き方改革につながる。授業以外の雑多な業務を担わされる「何でも屋」にとどまるか、教えることの高度専門職へと生まれ変われるか。2030年代の教員がどういう変身を遂げるかは、政策次第だ。

<資料>
IEA「TIMSS 2023」
OECD「PIAAC 2022-2023」
総務省『国勢調査』(2020年)

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