「フェイクの速射砲」で押し切るトランプ――マドゥロ拘束は「出たとこ勝負」だった
SHAM CAUSES OF WAR
べネズエラの首都カラカスの軍事基地にいたマドゥロ大統領と夫人は、ヘリでニューヨークに連行された CHARLES GUERINーABACAーREUTERS
<劇的な成功の裏で、トランプ政権の目的はいまだ不明瞭だ。正当化の理屈は次々と飛び交う一方、作戦後の統治や報復への備えなど「出口戦略」は見えていない>
米軍は1月3日未明、南米大陸北端に位置するベネズエラの首都カラカスを爆撃して電力網を破壊。
フエルテ・ティウナ基地内の居宅にいた同国大統領ニコラス・マドゥロの身柄を拘束し、手錠をかけ、目隠しをした上で強襲揚陸艦イオー・ジマに乗せ、最後はニューヨークまで運び、麻薬密売やテロ行為といった容疑で収監した。
アメリカ国民の大半はまだ眠っていたが、大統領のドナルド・トランプは自身が立ち上げたSNSトゥルース・ソーシャル上で、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンのウクライナに対する「特別軍事作戦」に匹敵する攻撃を行ったと発表。
その後、ホワイトハウスではなくフロリダ州にある自分の別荘マール・アラーゴで開いた記者会見では、アメリカは「安全、適切かつ分別ある政権に移行できるまで」ベネズエラを「運営」すると宣言した。
今度もまた、軍事作戦の動機として掲げられた政治的な目的は、一貫性も説得力もないものだった。確かに劇的で、初動の作戦は見事に遂行されたが、その後の戦略を準備していなかったことは明らかだ。
備える時間がなかったわけではない。何カ月も前から積み上げてきた作戦だ。海上封鎖に始まり、公海上で石油タンカーを拿捕し、麻薬を運んでいると見立てた船舶を沈めて多くの人を殺し、無人機で港湾施設を破壊した上で、とどめの一撃。見事だ。しかしその先が見えていない。
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