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トランプは「プロの扇動者」と決めつけるが...ICEが射殺した女性は本当に「テロリスト」だったのか

Dangerous Rhetoric

2026年1月13日(火)17時00分
モリー・オルムステッド (スレート誌記者)

フロイド事件との悲しい差

ここで整理しておくと、さまざまな角度から撮影されていた動画を見る限り、車を運転していた女性から殺意を見て取ることはできない。

女性が車を止めていると、トラックからICEの職員2人が降りてくる。早足で近づいた職員が運転席側のドアハンドルに手を伸ばすと、女性は車をバック。車の向きを変え、その場を離れようとしたとみられる。女性がブレーキをかけると、車の前方に3人目の職員が現れる。女性はその後、バックからドライブに切り替え、職員らから離れようと車を斜め前方に発進。すると1人が銃を抜き、車のフロントガラスや運転席側の窓に向けて数回発砲する。


状況が明らかになるにつれ、衝撃はさらに広がった。

地元メディアの報道によれば、女性は犯罪現場から逃走する容疑者でも、逮捕を恐れる移民ですらなく、近隣住民を守ろうと政治的な抗議活動を行っていた人物だった。

このところミネアポリスでは、連邦捜査官がソマリア系移民を標的に大規模な強制送還作戦を実施しており、市当局はICEの介入に強く抗議していた。

事件を受け、ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(民主党)は発砲行為に異議を唱える動画を出したが、MAGA派はこの件を警察国家拡大を正当化する手段にしようとしている。右派コメンテーターのティム・プールは、「ミネアポリスに州兵を派遣する必要がある」と訴えた。

6年前のフロイド事件は、少なくとも一定期間は、党派を超え、恐怖と深い悲しみをもって受け止められた。MAGA派は今、フロイドを殺害した元警官の名誉回復に取り組んでいる。

©2026 The Slate Group

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