最新記事
アメリカ政治

選挙の次に壊すのは「法」?――トランプが目指す「法を無視できる大統領」とは

U.S. POLITICS

2025年12月26日(金)18時16分
アジズ・ハク (米シカゴ大学教授・法学)
法の支配の土台(柱)が崩れていくイメージイラスト

ILLUSTRATION FROM PROJECT SYNDICATE’S THE YEAR AHEAD 2026 MAGAZINE

<行き過ぎた権力にブレーキをかけるのが司法のはずだ。だが第2次トランプ政権下では、最高裁がブレーキではなく追い風になりつつある>

ドナルド・トランプ米大統領の第2次政権の最初の1年は、法の支配に深刻な打撃を与えた。

法の支配という理想の核心には、2つの価値がある。まず、一般市民が自らの行動の結果を正確に予測するには法を頼りにできること。そして、国家という強大な権力を行使する公職者の行動も、同じ法によって予測可能になることだ。


ところが第2次トランプ政権は、法律などという凡庸なものに縛られることを拒んでいる。司法省は連邦地裁や控訴裁の命令に常に従う立場にはないと明言し、政権は支出を義務付ける法律などを「守っても守らなくてもいいもの」として扱う。

トランプはこうした姿勢を、2024年11月の大統領選での(僅差の)勝利によって国民の「負託」を得たと主張して正当化する。言うまでもなくアメリカの憲法体制において、大統領の権限は国の法律によって定められた枠内にある。

それでもトランプ政権は、法の支配を成り立たせてきた2つの柱を解体しようとする。成文法が約束するとされる予測可能性と、公職者も一般市民と同様に法に拘束される、という原則である。

この点でトランプの言う「負託」は、今後数カ月や数年を考える上で有益なヒントになる。アメリカ民主主義の見通しが暗くなるかどうかを左右するのは、大統領が「負託」を得たという主張をどこまで押し広げるかという点に集約される。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国春節の海外旅行、ロシア・豪州・タイが人気 日本

ビジネス

サムスン、高帯域メモリー「HBM4」出荷開始 AI

ワールド

中国、国内EVメーカーとEUの個別交渉巡り姿勢転換

ビジネス

インタビュー:報酬最大6000万円で勝負、アクティ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 7
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中