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18分で世界が終わる――アカデミー賞監督が描く核攻撃の恐怖と沈黙の代償

A CALL TO ACTION

2025年11月6日(木)10時18分
H ・アラン・スコット

何としても事実を突き止めようというジャーナリスティックな探究心を持って政府機関の内部に分け入り、知られざる実態を見る人に突き付ける──これがビグローの得意業だ。

「世界中で多くの軍事衝突が起きている今、私たちは一触即発の状況に置かれている」と、ビグローは言う。

「核兵器の削減を本気で話し合うべきだ。この作品が人々の行動を促すきっかけになってほしい」

世界中の観客に呼びかけるため、ビグローとオッペンハイムはミサイル攻撃を仕掛けた国をあえて明確にしなかった。

「この映画には悪玉がいないことが重要だった」と、オッペンハイムは言う。

「ミサイルを発射した国を特定すれば、悪いのはその国だということになり、全く違うストーリーが出来上がる。責めるべき悪玉を登場させれば、(自分たちには罪がないという)安易な責任逃れを許してしまう」

映画に登場するアメリカ大統領は、オッペンハイムが言うように「思慮深く責任感ある人物」だが、このキャラクター設定にも意味がある。

有能な大統領でも想定外の核攻撃を目前にすれば人間的な弱さも見せるし、優柔不断にもなる。問題は権力者の資質にあるのではない。一人の人間に過大な決定権を与えるシステムこそ危うさをはらんでいるのだ。

「人類全体の運命を決定できるような人間は地球上にはいない。これほどの重圧と責任に耐えられる人もいない」と、オッペンハイムは言う。

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