海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動する「奇跡の光景」が話題に、目的は何なのか？

33歳のビアジーニは、サンディエゴでホエールウォッチング会社「ゴーン・ホエール・ウォッチング（Gone Whale Watching）」を経営している。これまで、ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー『オーシャン with デビッド・アッテンボロー（Ocean with David Attenborough）』や、トム・ハンクスがナレーターを務めるNBCの『The Americas』、さらにBBCの次回作『ブループラネットIII（Blue Planet III）』などに協力した実績がある。

長年、海を撮影してきた経験を持つビアジーニだが、今回の出来事は特別だったと本誌に語っている。

「これほどの規模の群れが、四方八方に一斉に動き出す瞬間を目にするのは、本当に息をのむ体験だった」と述べ、「僕たちはたまたま『メガポッド』の一部の進行方向にいた。動画では、僕の声に期待と興奮が入り混じっているのがわかると思う」と振り返る。

さらに「エンジン音のない状況だったからこそ、群れが海面を駆け抜ける轟音がはっきりと聞こえた」とも語り、「海の上でじっとしていたら、イルカの大群が怒涛の勢いでこちらに押し寄せてきた──そんな状況はめったにない」とその瞬間がいかに異例であったかを強調した。

イルカの「スタンピード（stampede）」現象は珍しいわけではないが、今回の規模はまさに圧巻だったという。
「通常、ハンドウイルカの群れは100〜500頭ほどだが、今回は2000〜7000頭規模の『メガポッド』だった」とビアジーニは語った。

スタンピードが起こるのには、いくつかの要因がある。