ルーブル強盗が示した「ヨーロッパ崩壊」のシナリオ...「穏やかなナショナリズム」に期待される役割とは?
Louvre Heist Encapsulates a Western Culture That Will Not Defend Itself | Opinion
パリのルーブル美術館で起きた衝撃的な盗難事件は、社会全体を覆う現象を奇妙なほど象徴している。
10月19日、建設作業員を装った犯人たちが真っ昼間にフランス王家の宝飾品8点を盗み出した。推定総額はおよそ1億ドル(約150億円)にのぼる。最も驚くべき点は──この原稿執筆時点(米国時間24日)で、犯人たちはまだ捕まっていないということだ。[編集部注:26日に容疑者2人が逮捕されている]
フランス当局の、王冠の宝石を守ることも、それを奪った犯人たちを速やかに逮捕することもできなかったという、まったく屈辱的な失態は、今週多くの会話の中で繰り返し浮かび上がったある主張を、これ以上なく象徴的に物語っている──ヨーロッパの政治的・文化的エリートたちは、良く言えば、自らの文化を守ろうという関心すら持たず、悪く言えば、その文化が根こそぎ挿げ替えされることを望んでいる。
アメリカに目を向ければ、状況はある意味でヨーロッパと大きく変わらない。2016年にドナルド・トランプがホワイトハウスに押し上げられた最大の要因は、数十年にわたる無計画な移民政策と、エリート主導による文化の退廃に対する懸念だった。
この点におけるアメリカとヨーロッパの主な違いは、(依然として衰退傾向にあるとはいえ)アメリカの教会の生命力を除けば、政治の側面にある。
トランプは現在大統領2期目だが、ヨーロッパで中道右派のリーダーを抱える主要国は今やイタリアのみ。ハンガリーのヴィクトル・オルバンひとりにすべてを託すわけにはいかない。
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