また政府閉鎖、それでも経済は止まらない...米統計の空白が政策判断を揺らす

10月1日、米連邦政府の支出を賄う予算が新年度入りした同日未明に失効し、政府機関の一部閉鎖が始まったことで、政府統計発表に遅れが生じる恐れが出てきた。米議会前で2024年11月撮影(2025年 ロイター/Hannah McKay)
米連邦政府の支出を賄う予算が新年度入りした1日未明に失効し、政府機関の一部閉鎖が始まったことで、政府統計発表に遅れが生じる恐れが出てきた。折悪しくも、今は労働市場や物価、個人消費、設備投資の動向を巡って米連邦準備理事会(FRB) をはじめとする政策担当者らの間に不確実性と意見対立が広がっている。
ただこれまでの例が参考になるとすれば、政府閉鎖自体が実体経済に持続的な打撃を与える公算は乏しい。
過去50年で発生した政府閉鎖は合計20回、閉鎖期間は平均8日間、中央値は4日間で、一部の行政サービスや政府職員への給与支払いの滞りが経済を直撃するほど長期間だったとは言い難い。
経済活動縮小と同時に政府閉鎖が起きたのはわずか2回。1981年のレーガン政権下の2日間と1990年のジョージ・H・W・ブッシュ政権下の3日間だが、いずれも閉鎖が始まる前から景気後退局面に入っていた。
1977年のカーター政権時には3カ月にわたって断続的に計31日間政府機関が閉鎖され、経済成長がほぼ停滞し、政府支出も抑制されて成長の足を引っ張った。ただ次の四半期には成長軌道を取り戻し、個人消費は政府閉鎖中も減速しなかった。
実際、全般的には過去の政府閉鎖期間を通じて個人消費は伸び続け、平均で約0.5%増加している。2018年12月から19年1月までの第1次トランプ政権における過去最長の35日に及んだ直近の政府閉鎖では、2カ月間の個人消費は月平均0.3%減少した。しかしエコノミストの分析によると、これは減税効果のはく落や中国との貿易戦争を巡る懸念によるという。