最新記事
アメリカ政治

また政府閉鎖、それでも経済は止まらない...米統計の空白が政策判断を揺らす

2025年10月2日(木)13時32分
米議会前

10月1日、米連邦政府の支出を賄う予算が新年度入りした同日未明に失効し、政府機関の一部閉鎖が始まったことで、政府統計発表に遅れが生じる恐れが出てきた。米議会前で2024年11月撮影(2025年 ロイター/Hannah McKay)

米連邦政府の支出を賄う予算が新年度入りした1日未明に失効し、政府機関の一部閉鎖が始まったことで、政府統計発表に遅れが生じる恐れが出てきた。折悪しくも、今は労働市場や物価、個人消費、設備投資の動向を巡って米連邦準備理事会(FRB) をはじめとする政策担当者らの間に不確実性と意見対立が広がっている。

ただこれまでの例が参考になるとすれば、政府閉鎖自体が実体経済に持続的な打撃を与える公算は乏しい。

過去50年で発生した政府閉鎖は合計20回、閉鎖期間は平均8日間、中央値は4日間で、一部の行政サービスや政府職員への給与支払いの滞りが経済を直撃するほど長期間だったとは言い難い。


 

経済活動縮小と同時に政府閉鎖が起きたのはわずか2回。1981年のレーガン政権下の2日間と1990年のジョージ・H・W・ブッシュ政権下の3日間だが、いずれも閉鎖が始まる前から景気後退局面に入っていた。

1977年のカーター政権時には3カ月にわたって断続的に計31日間政府機関が閉鎖され、経済成長がほぼ停滞し、政府支出も抑制されて成長の足を引っ張った。ただ次の四半期には成長軌道を取り戻し、個人消費は政府閉鎖中も減速しなかった。

実際、全般的には過去の政府閉鎖期間を通じて個人消費は伸び続け、平均で約0.5%増加している。2018年12月から19年1月までの第1次トランプ政権における過去最長の35日に及んだ直近の政府閉鎖では、2カ月間の個人消費は月平均0.3%減少した。しかしエコノミストの分析によると、これは減税効果のはく落や中国との貿易戦争を巡る懸念によるという。

国立西洋美術館「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」鑑賞チケット2組4名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

比当局、セブ島沖地震で救助活動終了 避難者2万人の

ワールド

ガザ支援船39隻拿捕、1隻のみ航行 イスラエルへの

ワールド

外部電源喪失のザポリージャ原発、発電機の修理完了 

ワールド

アングル:ウクライナ戦の共闘誇る露朝、モスクワで「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」してしまったインコの動画にSNSは「爆笑の嵐」
  • 4
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 7
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 8
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 9
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中