北極に送られるロシアの政治犯...戦争による人手不足で強制労働が急増

2025年9月16日(火)15時57分

インターネット通販企業オゾンは、5万人以上の従業員のうち233人の受刑者を倉庫スタッフとして雇用しているという。オゾンはロイターへの声明で、彼らにも残業手当や有給休暇、病気休暇といった福利厚生の権利はある一方、給与から矯正センターへの支払いや罰金が差し引かれていることも認識していると述べた。

ロシア当局は強制労働について、人材確保に苦戦する企業にとって好都合だろうとの見方を隠していない。ノリリスク市のデータによると、7月の求人数は3789人であったのに対し、失業登録者はわずか172人だった。


 

定員105名の女子矯正センター開設にあたり、地方矯正局のユーリ・セメニュク氏は3月、同局の新聞に「予算を節約」し、「労働力不足に陥っている企業や組織の生産上の問題を解決する」と語った。

OVDインフォによると、強制労働を言い渡された人のうち政治犯は少数ではあるものの増加傾向にあり、22年以降68人に上ると指摘した。

ファティアノワさんの事例

2024年春に突然ノリリスク行きを命じられたファティアノワさんは、20年近く抗議活動を続けてきた。

事の発端は23年3月、彼女が本業の合間に運営していた小規模の共産主義系新聞に、ウクライナ戦争に関する記事を掲載したことだった。帝国主義的な動機によって戦争が引き起こされたと主張する内容で、筆者はファティアノワさんではなかった。

ファティアノワさんは24年、この記事を根拠に裁判所によって精神病院に送られ、1カ月にわたる検査を受けたが、医師から正常だと診断されたため退院したと、ロイターは2月に報じている。

そして12月、「軍隊の信用を失墜させた」として2年間の強制労働を言い渡された。

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