北極に送られるロシアの政治犯...戦争による人手不足で強制労働が急増
スボロワさんは、政府発行紙「ロシースカヤ・ガゼータ」が23年にノリリスクをロシアで最も汚染された都市と呼んだことを引用し、厳しい気候や環境の悪化を指摘した。
ロシア人権団体OVDインフォの弁護士でドイツ在住のエヴァ・レベンバーグ氏によると、ロシアの法律では受刑者の賃金の最大75%を、維持費や裁判所が命じるその他の支払い分として差し引くことができるという。
「受刑者らは事実上、奴隷労働に近い立場に置かれている。雇用主を選べず、自身の権利を守るために労働組合を組織する自由もない」とレベンバーグ氏はロイターに語った。「思うに、その理由は主に経済的なものだろう。企業は人件費を削減すると同時に、あらゆる労働基準を遵守する必要性から逃れようとしている」。
記事に関してロシアの法務省、刑執行庁、連邦政府に質問したが、返答は得られなかった。この制度で恩恵を受けている企業2社はロイターの取材に対し、労働基準を完全に遵守していると述べた。
ウクライナ戦争による労働者流出
ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、何十万人もの人々が軍に入隊したり、徴兵から逃れるために国外脱出を選んだ。企業は今、人手不足に陥り、賃金は上昇している。
国営メディアと刑務所局によると、製造、建設、住宅、林業、小売、防衛などの業界で、企業が受刑者を受け入れている。道路清掃員など、地方自治体に所属する人もいるという。
国営タス通信は22年11月、250人の受刑者がロシアの戦車メーカー、ウラルワゴン工場(UVZ)で働いていると伝えた。UVZを所有する国営ハイテク複合企業ロステックは、傘下企業での強制労働に関する質問にコメントしなかった。