北極に送られるロシアの政治犯...戦争による人手不足で強制労働が急増
財務省は今年、受刑者の労働から約500億ルーブル(約870億円)の国家収入があると推計し、20年に比べ3倍に増加するとの見通しを示した。
強制収容所には当たらない
2011年に現在の形で導入された強制労働についてロシア政府は、犯罪者が経済や社会に貢献できるようにすると同時に、再犯を減らす人道的な刑罰の一形態であるとしている。
強制労働に就く人々は「矯正センター」で監視下に置かれながら生活するが、公的には受刑者とはみなされない。賃金を受け取り、携帯電話を使用し、毎日数時間「プライベートな時間」を過ごすことも認められている。
「これは強制収容所には当たらないだろう」。21年、当時連邦刑執行庁(FSIN)の長官だったアレクサンドル・カラシニコフ氏は、寒さや飢え、過酷な労働によって数百万人が命を落としたスターリン時代の収容所を引き合いに出し、こう述べた。
ただ、ソ連時代に強制労働の場として建設された収容所「ノリラグ」が位置したノリリスクなどで強制労働システムが拡大していることに、歴史が繰り返されるのではないかと危惧する声もある。
ノリリスクには現在、より重大な犯罪を犯した人々が送られる男子刑務所コロニーと、男子矯正センター、そして4月に新たに開設され、その翌月ファティアノワさんが送られた女子矯正センターがある。
「当局は北極圏で、69年ぶりに女性向けのノリラグを再び作りだした。女性たちは健康を害している」とシベリアの人権活動家オルガ・スボロワさんは指摘する。スボロワさんはファティアノワさんのため、地域や連邦当局に請願活動を行った。





