埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
地主とクルド人は、持ちつ持たれつの関係にある?
2024年4月の大型連休前半には、ヤードでレイヴ(野外音楽イベント)が開催されて100人以上のクルド人が集まり、大音量で音楽を鳴らしたこともあったという。警察車両が警告を発しても、容易には収まらなかったようだ。
意外なのは、著者が周辺を自転車で徘徊して得た住民の反応だ。
「そりゃあ、クルド人は迷惑ですよ。クルマは飛ばすし、夜ヤードで酒を飲んで騒ぐこともありますし」
そう話すが、この男性も怒っているふうではない。不満を口にはするものの、どちらかというと穏やかな口調だ。
「でも、あいつら、言えばわかりますよ。先週末の夜も酔って騒いでいたからヤードまで行って、うるさい! と怒鳴ると、スミマセーンって、日本語で謝ってきました。そのまま静まりました」(72〜73ページより)
他の住民から聞かれたのも「迷惑なこともあるけど仕方がない」という発言ばかりで、つまりクルド人と地域住民が微妙なバランスで共生している印象があったというのだ。著者はそこに違和感を覚えたようだが、取材を重ねていくうちに理由が明らかになっていく。
例えば「クルドカー」による交通事故被害に遭ったことがあり、この問題に積極的に取り組んでいる青山聖子市議会議員は、ヤードの土地を所有する地主たちと、借りているクルド人は、持ちつ持たれつの関係にあるのだと説明している。
先述のとおり赤芝新田は住宅も商店も建てられない市街化調整区域であるため、土地の借り手はなかなか見つからない。ずっとヤードなので土の中には金属片が混じり、農地にするのも難しい。つまり、クルド人の解体業者に貸すしかないわけだ。





