止まらない人口減少...少子化は中国を滅ぼすのか?──古代ローマの教訓に重なる未来【note限定公開記事】
ANCIENT ROME’S LESSONS FOR CHINA

中国の深刻な少子化は古代ローマ帝国の崩壊状況と類似している ©Project Syndicate
<歯止めのきかない人口減少に直面する中国。かつて古代ローマも同じ道を歩み、やがて崩壊へと至った。中国の未来は古代ローマの運命をなぞるのか>
▼目次
1.「罰則」から「手当」へ、中国の劇的転換
2.ローマと中国に重なる「都市の罠」
1.「罰則」から「手当」へ、中国の劇的転換
中国政府は7月28日、出生率向上を目指し、3歳未満の子供1人当たり月額300元(約6200円)の育児手当を支給すると発表した。
ほんの数年前まで、産児制限に違反した夫婦に高額の罰金を科していたことを考えれば、劇的な政策の転換だ。
中国が直面する少子化の状況は、古代ローマと驚くほど似ている。古代ローマでは、人口を維持するために女性1人当たり5〜7人の子供を産む必要があった。
にもかかわらず、優生思想を実践。ネロ皇帝の師だった哲学者のセネカはこう述べている。「子供でも、生まれつき虚弱だったり奇形だったりしたら溺死させる」
特に嬰(えい)児殺しのリスクにさらされていたのが女児で、デルフィ遺跡の碑文に記録された600家族のうち、2人の娘を育てていたのはわずか1%だった。
中国では1980〜2015年まで一人っ子政策を実施。公式の統計によれば、1980〜2020年の間に3億3600万件の人工中絶が行われており、中には強制的なものもあったとされる。
古代ローマと同様、中国でも犠牲になったのは女児の胎児だ。2010年の国勢調査では0〜9歳の女児100人に対し、男児は119人。
この男女比が人口動態に長期的な影響を及ぼしており、出産の85%を担う20〜34歳の女性の人口は2050年までに半減すると予測されている。
ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスは出産を奨励する政策を導入し、20歳以上の女性と25歳以上の男性を対象に、子供を持つ人には報奨を与え、未婚者や子供がいない市民には罰則を科した。
経済を奴隷に依存した古代ローマの都市化率は25〜30%に達していた。この値は出生率が急速に低下した1990年代の中国に匹敵する。
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【note限定公開記事】止まらない人口減少...少子化は中国を滅ぼすのか?──古代ローマの教訓に重なる未来
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