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アメリカは「一族企業」になるのか...「私が望むことは何でもできる」暴走する大統領権限とその限界

2025年9月1日(月)15時10分

クック氏の場合、政権側は住宅ローンに関する不正があったと主張したが、同氏は否定している。ただ、トランプ氏はクック氏解任に別の動機があることを隠していない。26日の閣議では、FRBは間もなく自身が望む利下げに賛成するメンバーが理事会の多数派を占めるだろうと語った。

フォーダム大法科大学院准教授で、大統領権限を専門に研究するジェーン・マナーズ氏は、クック氏の理事解任が受け入れられた場合には「ドミノ倒し」が起きると警告。「もはや米国は露骨な政治圧力とは無縁の意思決定者を持つ行政国家ではなくなる」と問題視した。


 

一族企業と同一視

ホワイトハウスは、トランプ氏のやり方は適切で、一連の解任通告は妥当だとの見解を崩していない。

ロジャース大統領報道官は「トランプ政権は憲法と議会が行政府に承認した全ての権限を行使し、トランプ氏が選挙で掲げた米国第一主義の政策を実行している。トランプ氏は国民の利益を、外国や教育機関、選挙を経ていない官僚、浮世離れしたウォーク(社会的意識に目覚めた人々)よりも優先するという約束を守り続けている」と言い張る。

首都ワシントンに州兵を動員したトランプ氏は直近では、野党民主党の知事がいる中西部の都市シカゴに治安対策のために州兵を送る可能性にも言及し、「私が望むことは何でもできる権限」があると言い切った。

リンカーンやフランクリン・D・ルーズベルトら野心的な大統領は過去にも存在した。だが、トランプ氏が異なるのは上下両院を与党共和党が支配し、連邦最高裁判所判事も保守派が多数を占める中で、今のところ有力な反対勢力が乏しいことだ。

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