カリブ海で米・ベネズエラ対立激化 駆逐艦派遣と軍艦配備で緊張高まる

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<米トランプ政権は麻薬カルテル撲滅を掲げ、ベネズエラ沖に駆逐艦3隻を派遣。これに対抗してベネズエラも軍艦やドローンを領海に配備。地域全体の安全保障を揺るがす瀬戸際外交へと発展か>
カリブ海を舞台に、アメリカとベネズエラの緊張が高まっている。違法薬物の流入に悩まされている米トランプ政権は中南米の麻薬カルテル撲滅を掲げ、8月下旬にミサイル駆逐艦3隻をベネズエラ沖に派遣。加えて麻薬テロなどの容疑で米司法省に起訴されたマドゥロ大統領の懸賞金を5000万ドルに倍増させた。
一方、ベネズエラも米軍の動きに対抗して軍艦やドローンを領海に配備。さらに、アメリカの脅威拡大を非難する書簡を国連に提出した。
一連の応酬は、両国の対立が麻薬対策の枠を超えて地政学的な瀬戸際外交に発展しつつある現状を浮き彫りにしている。緊張がさらに高まれば、地域の安全保障が不安定化し、中南米諸国を巻き込んだ衝突を誘発しかねない。
マドゥロはアメリカが企てる「政権転覆や軍事的テロ攻撃は不道徳で犯罪的で違法」だと糾弾し、「中南米の一国に対して侵略行為を行う者は、全ての国を攻撃しているのと同じだ」と語っている。