最新記事
中東情勢

それでもグレタはあきらめない...ガザへの支援物資搬入に向けて出航、無事にたどり着けるのか

2025年9月1日(月)08時35分
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリら

8月31日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(写真中央)らを乗せた数十隻の船団が、スペイン・バルセロナの港を出航した。バルセロナで撮影(2025年 ロイター/Eva Manez)

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらを乗せた数十隻の船団が8月31日、スペイン・バルセロナの港を出航した。イスラム組織ハマスを攻撃しているイスラエルによる人道支援物資の搬入制限を受け、深刻な食料不足に陥っているパレスチナ自治区ガザに支援物資を届けることを目指している。

数千人の支援者がバルセロナの港に集まり、船団を見送った。支援者の多くはパレスチナの旗を掲げ、「パレスチナを解放せよ」「これは戦争ではない、ジェノサイド(民族大量虐殺)だ」と叫んだ。


トゥンベリさんは「これは国際法を守れず、極めて暴力的で、従来の国際システムに挑む使命だ」 と出航する前に語りかけた。運営委員会のヤセミン・アカル氏によると、船団にはギリシャ、イタリア、チュニジアからさらに多くの船が合流する予定だと説明した。

運営委員会によると、イタリア北西部の港湾都市ジェノバでは、ガザ向けの食糧約250トンが集められた。支援物資の一部は31日に出航した船団に積み込まれたが、残りはイタリア・シチリア島の港湾都市カターニアに送られ、9月4日にガザへ向けて出航する船団に積み込む。

トゥンベリさんは6月に他の活動家と共にガザに向けて出航したが、イスラエル軍に拿捕(だほ)されて失敗していた。イスラエル軍は船を押収し、イスラエルから国外退去処分とした。イスラエルはこれまでにハマスへの武器密輸を阻止するために海上封鎖が必要だと主張しており、トゥンベリさんを含めて突破しようとする動きをハマス支援の宣伝工作だと非難している。

イスラエル当局は、戦闘のきっかけとなった昨年10月7日のイスラエル南部への攻撃でハマスが1200人超を殺害し、251人をガザに連れ去ったと主張。一方でガザの保健当局は、イスラエル軍によるガザへの攻撃で6万3000人を超える死者が出ており、大半を民間人が占めたと説明している。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英、「影の船団」対策でロ石油大手2社に制裁 中印企

ビジネス

TSMC、通期見通し上方修正 第3四半期39%増益

ビジネス

8月第3次産業活動指数は2カ月ぶり低下、基調判断据

ワールド

維新が自民に政策提示、企業献金廃止など12項目 1
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中