最新記事
米EU関係

トランプ政権、EUデジタルサービス法関係当局者に制裁検討...米EU関係の緊張がさらに加速する?

2025年8月26日(火)09時40分
ホワイトハウスの大統領執務室で話すトランプ

8月25日、 トランプ米政権は、欧州連合(EU)の巨大IT規制「デジタルサービス法(DSA)」の実施に関係したEUないし加盟国の当局者に対する制裁発動を検討している。写真は同日、ホワイトハウスの大統領執務室で撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米政権は、欧州連合(EU)の巨大IT規制「デジタルサービス法(DSA)」の実施に関係したEUないし加盟国の当局者に対する制裁発動を検討している。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。

貿易相手国が互いに定めた国内ルールを不公正だと不満を表明し合うケースは少なくないが、そうしたルール整備に関与した個人を制裁対象にするのは極めて異例。欧州が保守的な意見を抑圧していると主張するトランプ政権の行動がさらにエスカレートする恐れがあり、関税問題がもたらした米EU関係の緊張がさらに高まりかねない。


関係者の話では、米国務省はビザ(査証)発給制限などの具体的な制裁措置を行うかどうかまだ最終決定はしていない。対象となるEUや加盟国の個人もなお不明だが、先週この問題で米当局者が協議したという。

DSAは、ヘイトスピーチや児童ポルノといった違法コンテンツの排除を巨大IT企業に義務付ける法令。ただ米政府はかねてから、EUはヘイトスピーチ、誤情報、偽情報を取り締まる中で、表現の自由を過度に制限し、DSAでそうした制限が強化されていると反発している。

ルビオ国務長官は8月初め、EU加盟国駐在の外交官に対して現地政府やデジタルサービス当局と定期的に接触し、DSAと米企業がこれに関連して負担する費用について米国が懸念していると伝えるよう指示した。ルビオ氏は5月に、米国人がソーシャルメディアなどに表明した言説の「検閲」をする人物にはビザ発給を停止する可能性があり、その対象には米ハイテク企業を規制監督する外国政府当局者が含まれると示唆していた。

バンス副大統領は2月、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などの言説を検索し、民主主義を後退させていると欧州の指導者を非難した。3月、EUの独占禁止当局やハイテク企業監督当局の責任者は米議員に対し、DSAはデジタル市場の開放性を維持するのが狙いで、米企業を標的にしているわけではないと説明している。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 健康長寿の筋トレ入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月2日号(8月26日発売)は「健康長寿の筋トレ入門」特集。なかやまきんに君直伝レッスン/1日5分のエキセントリック運動

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


食と健康
消費者も販売員も健康に...「安全で美味しい」冷凍食品を届け続けて半世紀、その歩みと「オンリーワンの強み」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドイツの洋上風力発電事業、中国製タービン取りやめ国

ビジネス

独ポルシェ、傘下セルフォースでのバッテリー製造計画

ビジネス

米テスラ、自動運転死傷事故で6000万ドルの和解案

ビジネス

企業向けサービス価格7月は+2.9%に減速 24年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中