イスラエルがヨルダン川西岸に打ち込む「棺の釘」...パレスチナを左右しかねない「E1計画」とは
Israel Approves Controversial West Bank Project: 'Nail in the Coffin'

E1地区では2020年にもイスラエルに対する抗議活動が起こっていた(2020年2月25日撮影) Mohamad Torokman-REUTERS
<イスラエルが最終承認したE1計画。ヨルダン川西岸を南北に分断する計画は、パレスチナの未来にどのような影響を与えるのか>
イスラエルは8月20日、長年論争の的となっていた占領下のヨルダン川西岸での入植地計画に最終承認を与えた。
パレスチナ人や人権団体は、この最終承認がヨルダン川西岸を南北に分断し、将来のパレスチナ国家樹立の見通しに壊滅的な打撃を与えると警告している。
この計画は、エルサレムの東に位置するE1と呼ばれる土地に関するもの。20年以上にわたって議論されており、何度も推進されながらも、二国家解決に向けた交渉の実現可能性を保とうとしてきたアメリカからの圧力により長らく凍結されていた。
国際社会は圧倒的多数で、ヨルダン川西岸におけるイスラエルの入植地建設を国際法に違反するものと見なしており、和平への重大な障害と考えている。
イスラエルの極右であり、元入植者リーダーでもあるベザレル・スモトリッチ財務大臣は、この最終承認を西側諸国による最近のパレスチナ国家承認の動きに対する直接的な反撃だと称賛した。
「パレスチナ国家は、スローガンではなく行動によって議題から消えつつある」とスモトリッチは述べた。
「(ヨルダン川西岸における)すべての入植地、すべての住宅街、すべての住宅ユニットが、この危険な幻想に対する棺の釘なのだ」
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は長年、パレスチナ国家という考えを拒否している。その代わりに、ヨルダン川西岸、併合された東エルサレム、そしてガザ地区を無期限に支配し続ける姿勢を貫いている。イスラエルはこれら3地域を1967年の中東戦争で制圧し、パレスチナ人はこれらを将来の国家の基盤とすることを一貫して求めてきている。