習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で見えた強権体制の現在地

Xi’s Grip: Rumors vs. Reality

2025年8月19日(火)19時15分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)

第1に、今の中国は毛沢東時代より開放的でも、共産党内部の政治構造を読み解くのはさらに難しくなっている。

毛時代には、中国の政治派閥は急進派(共産党系の毛陣営)か、現実派(当時の周恩来首相が率いた国務院グループ)のどちらかに属していた。


ライバル同士の両者は現在、巨大企業アリババなどの株主として産業政策への影響力を争い、企業支配を画策する一方、親子2世代にまたがる婚姻・離婚の連続によって複雑に絡み合った関係にある。

こうした内情は、共産党の犯罪組織めいた秘密主義のベールに包まれ、中国のソーシャルメディアで面白おかしく騒ぎ立てられている。そのため、観測筋の分析はさらに落とし穴にはまりやすくなる。

第2に、最近の権力争いの主要プレーヤーとされる人物の大半は、毛時代と比較して「軽量級」だ。その時々の動きに応じて、位置付けが極端に変化することもある。

いい例が、2022年の第20回党大会で中央軍事委員会副主席に再任され、注目されるようになった張又俠(チャン・ヨウシア)だ。習とは、父親同士が同郷の戦友の間柄で、アナリストはたちまち最側近と評した。だが今では根拠もないまま、習の敵対勢力の中心といわれている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は小幅反発、ソフトバンクGが上値抑える

ビジネス

「ドイツ銀がリスクを軽視」、元行員の主張をECB検

ビジネス

午後3時のドルは156円後半、高値圏で売買交錯

ビジネス

欧州新車販売、10月は前年比+4.9% EVがガソ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中