習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で見えた強権体制の現在地
Xi’s Grip: Rumors vs. Reality
第3に、中国共産党絡みの分析は特化型の巨大市場だ。
在外中国人が主流の多数のオピニオンリーダーが、主に在外中国人向けにYouTubeやX(旧ツイッター)で「商品」を提供している。その一部は政治エンターテインメントと化し、中には共産党の利益のために動いているインフルエンサーもいる。
カギを握るのはカネ
こうした環境で、権力抗争勃発という説は懐疑的に受け止めるべきだ。判断に役立つ簡単なテストが2つある。
1つ目は「金力」テストだ。最高指導者を倒す現実的なチャンスを手にするには、資源が豊富でなければならない。カネ(またはその等価物)で忠誠心を買える現代の中国政界で、ばらまく資源を持っているのは誰なのか。
故江沢民元国家主席が1989年から率いた上海閥は、中国が資本主義化を進めた経済成長時代、最大の金権を握っていた。
02年に、中国共産主義青年団(共青団)を牽引する胡錦濤(フー・チンタオ)と温家宝(ウエン・チアパオ)が、それぞれ次期国家主席と次期首相に選出された後も、江はおおむね支配を維持していた。