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米ロ首脳会談

なぜ?「国際法違反で逮捕状」が出ているプーチンが、アメリカで逮捕されず米ロ会談に臨める理由

Could Vladimir Putin Be Arrested in Alaska?

2025年8月15日(金)15時30分
ヘスス・メサ

加盟国であっても逮捕しないことも

現時点で、日本やすべての南米の国、ヨーロッパのほぼすべての国を含めた125か国がローマ規程の締約国となっている。

一方、アメリカやロシアの他、中国、イスラエル、サウジアラビアなどは加盟していない。


ICCには独自の執行機関が存在しない。そのため、被告人の逮捕およびハーグへの移送は、あくまで加盟国の協力に依存している。アメリカやロシアのようにローマ規程を締結していない国に対しては、自発的な協力を求めるしかなく、それが実現することはほとんどない。

加えて、加盟国であっても、被告人を必ずしも逮捕するわけではない。

2024年、ICC加盟国であるモンゴルはプーチンの公式訪問を受け入れながらも逮捕しなかった。ICCはモンゴルを非難したが、モンゴルに対しての懲罰的措置は取らなかった。このような対応によって、近年ICCの権威が損なわれている。

ICCに訴追されている現職の国家指導者はプーチンだけではない。2024年11月、ICCはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相およびヨアブ・ガラント国防相に対して逮捕状を発行した。ICCは、ガザでの軍事作戦において、飢餓の手段や民間インフラへの攻撃など、戦争犯罪および人道に対する罪が行われたとしている。

ネタニヤフはこの訴追を「馬鹿げており虚偽だ」と一蹴し、ICCの行動を反ユダヤ的だと非難している。イスラエルのアイザック・ヘルツォグ大統領も、ハマスの人間の盾の使用やイスラエルの自衛権を無視しているとICCを批判している。

しかし、ネタニヤフも、ICC加盟国から処罰を受けていない。2025年、ネタニヤフはICC加盟国であるハンガリーを訪問したが逮捕されることはなかった。ハンガリーのビクトル・オルバン首相は「逮捕状に効果はない」と述べ、その後ハンガリーはICCからの離脱を表明した。

プーチンは何事もなくアメリカの土を踏み、アメリカから帰ることができるのだろうか。

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