債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務処理めぐり「バッドバンク」構想で大論争
7年以上滞納された5000万ウォン以下の債権が対象
李在明政権が計画するバッドバンクは8,000億ウォン(約850億円)規模とみられている。政府が4,000億ウォン(約424億円)を拠出し、銀行が3,500億ウォン(約370億円)、銀行を除く金融機関等が500億ウォン(約53億円)を拠出する計画だ。7年以上返済されていない5,000万ウォン(約530万円)以下の債権をバッドバンクが買い入れて償却、あるいは減免する計画だが課題も山積みだ。
拠出金の分担が議論に
第1の課題は拠出金の分担である。7月15日、銀行連合会と貯蓄銀行中央会、与信金融協会、生・損保協会、韓国貸付金融協会が一堂に会して話し合いがもたれたという。事業の概要と金融機関の拠出金4,000億ウォンに関する話も交わされたというが、どの金融機関がどの程度、拠出するのか具体的な分担比率の調整には時間がかかるとみられている。
多くの利益を出している金融機関がある一方、貯蓄銀行は2023年から純損失を出しており、相互金融も7年以上の長期延滞債権が5,400億ウォン(約570億円)に達している。金融当局は8月中にバッドバンクを設立して10月から延滞債権の買い入れを始めたい意向だが、金融業界はまずは政府が拠出する4,000億ウォンでバッドバンク運営を始めることになるだろうと観測する。
第2の課題はバッドバンクが買い入れる債権だ。大枠は7年以上延滞している5,000万ウォン以下の債権だが、韓国資産管理公社(KAMCO)が保有する債権のなかには1997年のアジア通貨危機以降、不良債権整理基金の名目で買収し、現在まで償却されていない長期延滞債権も8,575億ウォン(約910億円、6万5,020人)あり、KAMCOが償却する債権4兆6,212億ウォン(約4,900億円)の19%に達している。