最新記事
日本社会

「男は仕事、女は家庭」の意識がいまだに残る日本では少子化は止まらない

2025年7月30日(水)14時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
男女収入格差

令和の時代になっても日本の性役割分業意識はいまだに根強い 78design/photoAC

<日本は他の先進諸国と比較すると、既婚男女の収入格差が最も大きい>

「男は仕事、女は家庭」という性役割分業は、昔ではごく当たり前のことで、社会の維持・存続に必要とすら考えられていた。中学校の技術・家庭科の履修規定が、「男子は技術、女子は家庭」と定められていたことに、それが表れている。

だが今は違う。労働力人口が減る中、女性の社会進出を促進させないと社会の維持・存続が危うい。個々の家庭にしても、今後は夫婦共稼ぎが必要。男性の腕一本で一家を養えていた時代など、とうに終わっている。そして何より、性役割分業は女性の権利(幸福追求権)を侵害する。こういう認識のもと、性役割分業を無くす動きが広がっている。

しかしながら、令和の時代になっても男女の「すがた」はかなり違っている。<表1>は、既婚男女の年収分布を比較したものだ。無業者(年収ゼロ)も加えている。

newsweekjp20250730022059.png


女性では無業者が32%と最も多い。3人に1人だ。残りの7割が有業者だが、年収の上位層はわずかしかいない。対して男性では無業者はほとんどおらず、年収が上位25%以上の層(C6、C7)が全体の44%を占めている。

いまだに、旧態依然の性役割分業が根を張っていることが分かるが、これがどれほど強いかを測る単一の尺度を計算してみる。7つのグループの分布が、男女でどれほどズレているかは、右側の累積相対度数をグラフにすることで視覚化される。横軸に女性、縦軸に男性の累積相対度数をとった座標上に、7つのグループのドットを配置し線でつなぐと、<図1>のようになる。

newsweekjp20250730022154.png

図に描かれた青色の曲線を、ローレンツ曲線という。この曲線の底が深いほど、両軸の値の隔たりが大きい、すなわち男女の収入格差が大きいことになる。その程度は色付きの面積で示され、これを2倍にした値がジニ係数だ。格差が最も大きい場合、色付きの面積は四角形の半分(0.5)となるので、ジニ係数はこれを倍にして1.0となる。逆に完全平等の場合は、ローレンツ曲線は対角線と重なるのでジニ係数はゼロとなる。ジニ係数が0.0~1.0の値をとるのは、こういう意味であって、現実の値はこの両極の間のどこかに位置している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、次期FRB議長指名のウォー

ワールド

ゼレンスキー氏「ロがエネ施設攻撃停止」、物流標的の

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ179ドル安 次期FRB議

ワールド

メキシコ大統領、キューバ支援に向け解決策模索 米の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中